メールマーケティングを変えるBIMIとは?費用と導入ステップを解説

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メールマーケティングを変えるBIMIとは?費用と導入ステップを解説

近年、企業から送られるメールが増える一方で、フィッシング詐欺やなりすましなどのセキュリティリスクも高まっています。

「本当にこのメールは正しい企業からのものなのか?」という疑念を抱くのは、多くの人にとって当たり前になってきました。

そのような状況のなか、メールの信頼性を可視化し、受信者に「正規の企業から届いている」ことを視覚的に示す仕組みとして注目されているのがBIMI(Brand Indicators for Message Identification)です。

BIMIは、簡単に言えば「受信トレイに企業ロゴを表示する技術」です。ただし、単にロゴを表示させるだけでなく、SPF・DKIM・DMARCといったメール認証技術を確実に設定している企業だけが利用できる仕組みになっています。

これにより、信頼できる企業のロゴが受信トレイで目を引き、ブランドの視認性が高まるだけでなく、不正メールを見分けやすくする効果も期待できます。

今回は、初心者でもわかりやすいように、BIMIとは何かから始まり、導入に必要な手順や実際の費用感、導入によるメリットと注意点まで、詳しく紹介していきます。

「なんだか難しそうだけど導入のハードルは高いの?」と感じている方も、本記事を読み終える頃には「やってみようかな」と思えるようになるはずです。

それでは早速、BIMIの世界をのぞいてみましょう。

 

1. BIMI(Brand Indicators for Message Identification)とは何か?

BIMIは、ブランド(企業)のロゴを受信メールの一覧画面に表示させるための新しい仕組みとして注目を集めています。メールを開く前の段階で、送信者がどの企業なのかをロゴによって視覚的に伝えられるようになるというメリットがあります。

たとえば、皆さんのスマホやパソコンの受信トレイを想像してください。通常であれば、差出人名や件名が並んでいるだけですが、BIMIを導入すると差出人の欄に企業ロゴが表示されるようになります。

これにより、「〇〇社からのメールだ」とすぐにわかり、迷惑メールやフィッシングメールを受け取るリスクを減らす効果が期待できます。

BIMIがすべてのメールに適用されるわけではなく、企業がSPF・DKIM・DMARCといった認証技術を正しく設定し、さらに適切なBIMIレコードをDNSに追加している必要があります。

こうした認証を行うことで、なりすましや不正メールを大幅に減らすことができるため、BIMIはセキュリティ対策の一環としても位置づけられています。

 

2. BIMIが注目される背景:なぜ今「ロゴ表示」が重要なのか

メールでのコミュニケーションが当たり前になった現代では、毎日大量のメールが届くのが普通です。その中にはフィッシングメールや詐欺メールも含まれており、受信者が「本当に大丈夫なメールかどうか」をいちいち見分けるのは難しくなっています。

特に企業の場合、「自社名を騙ったなりすましメール」が送られることが大きなリスクです。もし顧客が「この企業は怪しい」と感じてしまえば、ブランドイメージの低下にもつながります。

そこで、「このメールは確かに正規の企業から送られてきています」という証明を視覚的に示す手段としてBIMIが脚光を浴びているのです。

また、ブランディングの観点から見ても、受信トレイにロゴが表示されることでブランド露出が増し、受信者の目に止まりやすくなります。開封率やクリック率の向上といったメリットも期待できるため、メールマーケティングにおいても非常に有用です。

 

3. BIMIの仕組み:SPF・DKIM・DMARCとの関係

BIMIは単独で機能するのではなく、以下のようなメール認証技術を前提としています。

  • SPF(Sender Policy Framework):
    送信元のIPアドレスが、そのドメイン(例:example.com)からの送信を許可されているかどうかをチェックする仕組み。

  • DKIM(DomainKeys Identified Mail):
    送信メールに電子署名を付与し、受信側がその署名を検証することで改ざんの有無を確認する仕組み。

  • DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance):
    SPFとDKIMの結果をもとに、メールをどう扱うか(受信・隔離・拒否)をポリシーとして設定できる仕組み。

BIMIを有効にするには、DMARCポリシーを「p=quarantine」または「p=reject」に設定することが必須です。

つまり「DMARCで明確に不正なメールをブロック・隔離する」方針をとっている、セキュリティ意識の高いドメインだけがBIMIを使う資格があるというわけです。

さらに、DMARCでの認証に成功したメールだけがBIMIによってロゴ表示されます。もし不正な送信であればSPFやDKIMの検証に失敗し、DMARCによって隔離・ブロックされるため、ロゴが表示されることはありません。

この仕組みにより、「ロゴが表示される=企業が公式に認証を行っているメール」と利用者が判断できるのです。

 

4. BIMI導入にかかる費用の内訳

「BIMIを導入するにはお金がかかるの?」と気になる方も多いでしょう。実際にBIMIそのものは無料の仕組みですが、導入のために必要な認証設定や証明書取得などに費用が発生するケースがあります。

ここでは主な費用項目を具体的に見ていきましょう。

 

4-1. SPF・DKIM・DMARC設定費用

  • 自社内のIT担当者が設定する場合:無料
    SPFやDKIM、DMARCはDNSレコードを編集し、専用のポリシーを設定することで導入できます。外部に依頼せず、自社のIT部門やDNSを管理している担当者がいれば追加の費用はかかりません。

  • 外部業者に依頼する場合:有料
    専門のメールセキュリティ業者やシステムインテグレーターに設定を依頼すると、数万円〜数十万円程度のコンサルティング費用が発生することがあります。設定の難易度や既存のシステム構成によって金額は変動します。

4-2. BIMIレコードの作成費用

  • 自社でレコード作成・DNS設定を行う場合:無料
    BIMIのレコードはDNSにTXTレコードとして追加します。以下のように記述し、企業ロゴのURLを指定します。

    default._bimi.example.com TXT "v=BIMI1; l=https://example.com/logo.svg;"
    

    この作業も、自社の担当者が行えば追加費用はかかりません。

  • 外部業者に依頼する場合:有料
    サポートサービスやコンサルティングを利用すると、数万円の費用が発生する場合があります。ただし、専門家がサポートしてくれるため、スムーズに導入できるメリットもあります。

4-3. VMC(Verified Mark Certificate)の取得費用

BIMIはYahoo! Mailなど一部のプロバイダーではVMCなしでも機能することがありますが、Gmailでロゴを表示する場合にはVMCの取得が事実上必須とされています。

VMCは「認証マーク証明書」と呼ばれるもので、企業のロゴが本物であると証明する役割を持ちます。

  • VMCの費用相場:年間1,000〜1,500ドル(約15〜22万円)
    DigiCertやEntrustといった証明書発行機関から取得する必要があり、1年ごとに更新料がかかるのが一般的です。

結論として、BIMIそのものは無料ですが、Gmailでロゴ表示を実現したい場合はVMCの年額費用を見込んでおく必要があるでしょう。

 

5. BIMIを導入するメリットと具体的な効果

費用がかかる可能性があるとはいえ、BIMIには企業が魅力を感じる多くのメリットがあります。

  1. ブランドの視認性向上
    受信トレイでロゴが表示されることで、自社のブランドイメージが一目でわかりやすくなります。

  2. メール開封率・クリック率の向上
    アイコンやロゴがあるメールは、そうでないメールと比べて開封率が上がるという研究結果もあります。ロゴがあるだけで「公式のメールかも」と思われやすく、興味を引きやすいのです。

  3. フィッシング詐欺の抑止
    ロゴ表示されるためにはDMARC認証が必須なので、不正メールはロゴを表示できません。結果的に、なりすましやフィッシング詐欺を受信者が見分けやすくなり、安全性が高まります。

  4. ブランド保護
    もしブランドがなりすましに利用されても、正規ルートから送信されたメールでなければロゴが表示されません。これにより、「本物のメール」と「偽物のメール」の区別が明確になります。

 

6. BIMIの導入ステップ:初心者向け手順ガイド

ここからは、BIMI導入までの大まかな手順を初心者にもわかりやすく解説します。大きく分けて4つのステップを踏むことで、最終的に受信トレイにロゴを表示させることが可能になります。

 

6-1. 送信ドメインの認証強化

まずはSPF・DKIM・DMARCの設定を行いましょう。

  1. SPFの設定
    自分のドメインから送信が許可されているメールサーバーのIPをDNSに登録します。
  2. DKIMの設定
    送信メールに電子署名を付与し、受信側が公開鍵でその署名を検証できるようにDNSに公開鍵を追加します。
  3. DMARCの設定
    SPF・DKIMの検証結果に基づき、メールを受信した側でどのように扱うかを定義します。BIMIを利用するには、p=quarantineまたはp=rejectが必要です。

6-2. SVGロゴの作成・最適化

BIMIで表示されるロゴは、SVG Tiny 1.2形式が求められます。通常のSVGファイルとは若干フォーマットが異なる可能性があるため、ツールを使って変換するか、専門のデザイナーや制作会社に依頼して準備しましょう。

  • ロゴの解像度と見やすさ:小さく表示されることを想定し、シンプルで鮮明なデザインが望ましいです。

6-3. DNSへのBIMIレコード追加

ロゴの準備ができたら、DNSにBIMIのレコードを追加します。たとえば以下のような形式です。

default._bimi.yourdomain.com  TXT  "v=BIMI1; l=https://yourdomain.com/logo.svg;"
  • v=BIMI1; はBIMIバージョンを表し、
  • l= にはロゴへのURLを指定します。

追加後、DNSが反映されるまでに数時間かかる場合もあるため注意してください。

6-4. VMC(必要に応じて)取得と適用

もしGmailで確実にロゴを表示したい場合は、VMC(Verified Mark Certificate)の購入を検討しましょう。

VMCを取得し、さらにDNSレコード内で証明書と紐付けることで、Google側も「このロゴは正式な証明書に基づいている」と認識し、表示してくれるようになります。

 

7. VMCとは?Gmailでロゴを表示するための証明書

VMC(Verified Mark Certificate)は、企業のロゴの正当性を第三者機関が証明する仕組みです。たとえば商標登録されているロゴであること、企業が正当な権利を保有していることなどを証明するために必要となります。

  • 発行機関: DigiCert、Entrustなど
  • 費用相場: 年間1,000〜1,500ドルほど

VMCがないと、Yahoo! Mailなどではロゴが表示される場合もある一方、Gmailではロゴが表示されない可能性が高いです。

企業にとってGmailユーザーは大きな割合を占めることが多いですから、本格的にBIMIを運用したいならVMCの取得を前向きに検討すべきでしょう。

 

8. BIMI導入時の注意点:運用上のポイントとよくあるトラブル

BIMIを導入すれば自動的にすべてがうまくいくわけではありません。以下のような注意点を事前に把握しておくことで、スムーズな導入と運用が可能になります。

 

8-1. DMARCポリシーの設定誤り

BIMIを導入しているにも関わらずロゴが表示されない場合、DMARCポリシーが正しく設定されていない可能性があります。設定ファイルの記述ミスやサブドメインの扱いなど、細かい点に注意が必要です。

8-2. ロゴの規格不一致(SVG Tiny 1.2)

BIMIが求めるロゴ規格は、意外に厳密です。通常のSVGではバージョンが異なると表示されないこともあるため、BIMI対応ツールを使うか、専門家に依頼してしっかりと変換してもらいましょう。

8-3. 受信メールプロバイダー側の仕様変更

Yahoo!やGmailなどの受信側プロバイダーも、しばしば仕様を更新します。せっかく導入したのに、表示ルールが変わってロゴが表示されなくなるといった可能性もゼロではありません。定期的に情報収集を行い、必要に応じて設定を見直す体制を整えておきましょう。

 

9. BIMI導入の事例:世界的ブランドの取り組みと成果

BIMIは世界的にも注目されており、大手ブランドやオンラインサービスプロバイダーが続々と導入を進めています。

たとえば、国際的な金融機関や有名なファッションブランドなどが導入し、「受信者がアイコンを見ただけで安心感を抱き、結果的にメールの開封率向上につながっている」という報告もあります。

また、BIMIが表示されるようになることで、なりすまし詐欺メールへの対策としても効果を実感しているという声が多数上がっています。

特に詐欺被害やブランドイメージの毀損を避けたい企業にとって、BIMIは有力なソリューションとなり得ます。

 

10. これからBIMIを導入する企業へ:失敗しないためのアドバイス

  1. まずは小規模テストから
    サブドメインやテスト用ドメインでBIMIの設定を行い、問題がないかどうかを検証しましょう。

  2. VMCは後回しにしても構わない
    Yahoo! Mailなど、一部プロバイダーではVMCがなくてもロゴが表示される場合があります。まずはその形で導入し、必要性が高まればVMCを取得するというアプローチも可能です。

  3. DMARCレポートを活用する
    DMARCレポートを受信・分析することで、実際にどのくらいのメールが正しく認証されているか、不正送信があるかを把握できます。BIMI導入後も定期的にレポートを確認し、問題があれば設定を見直しましょう。

  4. ロゴのデザインとファイルサイズに気を配る
    受信トレイではロゴが小さく表示されるため、複雑すぎるロゴは見づらくなる恐れがあります。BIMIの規格を満たしつつ、見やすく分かりやすいデザインに最適化しましょう。

  5. 適切な担当者と連携する
    DNSの設定はWeb管理者やIT部門、ロゴの修正はデザイナーなど、複数の担当者が必要になる場合があります。社内連携をしっかりと行い、スムーズに進められる体制を整えておきましょう。

11. まとめ:BIMIはブランドを守り、顧客の安心感を高める一歩

フィッシング詐欺やなりすましが横行する現代において、企業が自社のブランドを守るためには様々なメールセキュリティ対策が求められます。

その中でBIMIは、DMARCなどの技術的な認証を基盤としつつ、「ロゴ表示」という視覚的かつ直接的な手段で、正規メールであることをアピールできる貴重な仕組みです。

  • 費用面では、設定を自社で行う場合はほぼ無料で導入可能ですが、Gmailでのロゴ表示を狙うのであればVMCの年額費用を見込む必要があります。
  • メリットとしては、ブランドイメージの向上、メール開封率の向上、フィッシング詐欺の抑止などが期待できます。
  • 注意点としては、DMARCポリシーの厳格設定やロゴファイル(SVG Tiny 1.2)の作成、受信プロバイダーの仕様変更への対応などが挙げられます。

BIMIを導入することは、単なるセキュリティ対策以上に、自社ブランドを強化するマーケティング施策としての意味も大きいです。

メールが届くたびにロゴが目に入ることで、「この企業はしっかり認証も行っている信頼できるブランドなのだな」という印象をユーザーに与えることができます。企業としては長期的な視点で、ブランド力の向上や顧客信頼の確立につなげるチャンスとも言えるでしょう。

これからBIMIを導入しようと考えているのであれば、まずは自社のSPF・DKIM・DMARCの状況を確認し、問題があれば整備することからスタートしましょう。そのうえでロゴの準備やDNS設定を行い、ゆくゆくはVMCの取得を検討する形がおすすめです。

導入のハードルは決して低くはありませんが、それ以上のメリットをもたらす可能性を秘めています。ぜひ一度、BIMIの導入によってブランド価値をさらに高めることを検討してみてください。

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よぴ(管理人)

サイト「インターネットビジネスの世界」運営者。ビジネスプロデューサー、著述業。メルマガやブログを書きながら、好きなことをしてのんびりと生きています。