皆さんは、日々の業務やプロジェクト管理において「フォーム」が活躍するシーンをどのくらい思い浮かべられるでしょうか。アンケート調査、出欠確認、問い合わせ管理、バグ報告、作業時間報告など――フォームを使う場面は意外とたくさんあります。
これまでGoogleフォームを利用していたという方も多いと思いますが、実はNotionにも2024年10月に「ネイティブフォーム機能」が正式リリースされ、Notionだけで完結できるフォーム作成ツールが利用可能となりました。
本記事では、そんなNotionフォームの特徴や活用方法、さらにGoogleフォームとの違いをわかりやすく解説していきます。
この記事を読み終えるころには、初心者の方でも自分のワークスペース内でフォームを使いこなし、データを一元管理しながら業務効率化するイメージがつかめるはずです。ぜひ最後まで読んでみてください。
1. Notionフォームとは?
1-1. リリースの背景と特徴
Notionフォームは、2024年10月に正式リリースされた、Notionが提供するネイティブなフォーム作成機能です。これまでNotionでは外部サービスと連携したり、サードパーティ製のウィジェットを埋め込むなどしてフォームを利用する方法が一般的でした。
しかし、ネイティブフォーム機能の登場によって、Notionだけでフォームを作成し、回答結果をデータベースに自動保存できるようになったのです。
主な特徴
- Notionのデータベースと直接連携
フォームの回答内容は自動的にNotionのデータベースに保存されます。わざわざスプレッドシートなどに転記する必要がなく、Notion内で集計・分析・管理まで完結できるのが大きなメリットです。 - 外部ユーザーとの共有も可能
Notionは基本的にチーム内でのコラボレーションツールというイメージがありますが、フォームに関してはNotionアカウントを持たない外部ユーザーからの回答も収集できます。URLを共有するだけで回答を集められるので、幅広いシーンで活用可能です。 - プロジェクト管理・ワークフローとの統合
フォームを使って集めたデータを、Notionのプロジェクト管理ページやタスク管理システムに組み込みやすいのも魅力です。例えばバグ報告フォームの回答がリアルタイムで課題管理ボードに反映されるような連携が簡単にできます。
1-2. なぜNotionフォームが注目されるのか
近年、リモートワークやオンラインでのコミュニケーションの増加に伴い、クラウド上での情報共有のニーズがますます高まっています。
Notionは単なるノートツールではなく、プロジェクト管理からドキュメント作成、データベース管理まで一元化できるプラットフォームとして注目を集めています。
その中で「外部からの情報を収集し、さらにそれを一元管理できる」仕組みが求められた結果、ネイティブフォームが誕生し、大きな話題を呼んでいるのです。
2. Notionフォームの作成方法
ここでは、初心者の方でもわかるように、Notionフォームを作る基本的な手順を紹介します。まだNotionに慣れていない方は、ぜひ画面を開きながら実際に操作してみてください。
2-1. 新規データベースを作成する
- ページを作成
まず、任意のワークスペースまたはページで「+ New Page」をクリックして新しいページを作ります。 - データベースを作成
ページのテンプレート選択時や「/table」などのスラッシュコマンドを使って、テーブル、リストなど好きな形式のデータベースを作成してください。これが「フォームの回答を受け取る先」となります。
2-2. フォームを作成する
- Add a view(ビューボタン)からフォームを選択
データベースの上部にある「Add a view」をクリックすると、ビュースタイルを選べるメニューが表示されます。ここで「Form」を選択しましょう。 - フォームの名前を設定
デフォルトでは「Untitled Form」のようになっていますが、わかりやすい名前に変更します。たとえば「問い合わせフォーム」「アンケートフォーム」など、用途に合わせて設定します。 - 質問項目を追加・編集する
画面上で「Add a question」などのボタンをクリックし、質問項目を設定していきます。質問はデータベースのプロパティと紐づいており、「テキスト」「選択式」「日付」など、Notionのプロパティタイプを活かして質問を作成できます。 - 必須項目や説明文を設定
質問ごとに必須項目にするかどうかや、簡単な説明文を追加できます。ここでフォームの品質が決まるので、回答者にとってわかりやすい内容を心がけましょう。
2-3. フォームの公開と共有
- フォームのURLを取得
フォームビューメニューにある「Share form」といったボタンをクリックすると、外部に共有できるURLが発行されます。これをコピーしておくと、外部ユーザーでもアクセスできるようになります。 - 共有設定を確認
Notionワークスペースの共有設定やアクセス権限を確認し、リンクを知っている人が回答できる状態にしておきましょう。社内限定で使う場合は制限をかけることもできますが、外部からのアンケート回収などを想定している場合は「Anyone with the link」設定にする必要があります。
これで基本的なフォーム作成は完了です。慣れてきたら、さらなるカスタマイズや自動化設定にトライしてみると良いでしょう。
3. Notionフォームの活用事例
ここからは、実際にどのようなシーンでNotionフォームを活用できるのか、具体例を挙げながら解説します。
既存の業務やタスク管理フローにフォームを組み込むイメージを持ってみてください。
3-1. アンケート調査
- 顧客満足度調査
製品やサービスを利用中のユーザーに対しての満足度アンケートを実施できます。回答結果はNotionデータベースに蓄積されるため、後からフィルターを使って特定の条件に合うユーザーだけ抽出することも容易です。 - フィードバック収集
新機能に対する意見や改善点を集めるためのフォームを作成すれば、回答データをもとにチーム内でディスカッションしやすくなります。
3-2. イベントの出欠確認
- セミナー・ワークショップの申し込みフォーム
開催日時や会場、オンラインURLなどを記載してフォームを送付すれば、出欠を簡単に収集できます。回答結果が自動でリスト化されるので、参加者管理やリマインド連絡もスムーズになります。 - ミーティング参加確認
社内ミーティングに限らず、クライアントとの打ち合わせでも事前にフォームを送って参加意思を確認できます。やりとりがNotion内だけで完結するため、メールの数を減らすことができるのも利点です。
3-3. 社内問い合わせフォーム
- 管理部門・人事部門への問い合わせ
例えば「オフィス備品の購入申請」「福利厚生制度に関する質問」などを、Notionのフォーム経由で集約することで、担当者が迅速に回答・対応しやすくなります。 - 技術サポート窓口
IT部門などに日々寄せられる問い合わせを一元管理でき、履歴を残すことで同じ質問に対してもすぐに回答のテンプレートを用意できるようになります。
3-4. バグ報告フォーム
- ソフトウェア開発チームが使う場合
バグ報告内容(再現手順、環境情報、画面キャプチャのURLなど)をNotionフォームで集めると、そのままNotionのバグトラッキングデータベースに追加できます。開発チームは優先度を付けてタスク化できるので、対応漏れを防ぐことにつながります。
3-5. 作業時間報告
- リモートワーク・フリーランスの業務管理
従業員やフリーランスパートナーの作業時間を報告してもらい、その結果をNotion上で集計できます。外部ユーザーでもフォームから提出が可能なので、コラボレーションがしやすいのがポイントです。 - プロジェクトごとの工数把握
回収した時間データをプロジェクト単位で自動的に集計すれば、予算管理やスケジュール管理の精度を高めることができます。
4. NotionフォームとGoogleフォームの違い
フォームを作成・配布するツールとしては、依然としてGoogleフォームが高い人気を誇っています。では、NotionフォームとGoogleフォームは何が違うのでしょうか。
以下の比較表とあわせて、活用シーンや使いやすさについて解説します。
比較項目 | Notionフォーム | Googleフォーム |
---|---|---|
データ保存 | Notionのデータベースに直接記録 | Googleスプレッドシートに保存 |
カスタマイズ性 | Notionのプロパティに基づいたシンプルな設定 | 豊富なテーマ・レイアウトの変更が可能 |
質問の種類 | 基本的な質問形式のみ | 条件分岐やファイルアップロードなど高度な質問が可能 |
ワークフロー連携 | Notion内のタスク・プロジェクトと連携可能 | Googleサービス(スプレッドシート・Gmail 等)と連携 |
共有設定 | Notionワークスペース内で一元管理 | 公開リンクを共有しやすく、誰でもアクセス可能 |
通知機能 | Notionのオートメーション機能で通知 | Googleスプレッドシートを使った通知設定 |
4-1. Notionフォームが向いているケース
- Notionを日常的に活用している
プロジェクト管理や情報整理をNotionで一元化している場合、フォームで収集したデータがすぐにデータベースへ反映されるため、運用が非常にスムーズです。 - シンプルな運用を求めている
複雑な条件分岐や凝ったデザインが必要ない場合、Notionフォームは十分な機能を持っています。デフォルトでNotionの要素に紐づけられるので導入・管理が簡単。 - データをプロジェクト管理やタスク管理に素早く連携したい
バグ報告や問い合わせ内容をそのままタスク化・管理できる点は、Notionフォーム特有の強みです。
4-2. Googleフォームが向いているケース
- 複雑な質問設定が必要
ファイルアップロードや条件分岐など、多様なアンケート形式を求める場合にはGoogleフォームが優位。教育現場や大規模アンケートなど、柔軟性が求められる場面で活躍します。 - デザインをカスタマイズしたい
Googleフォームはテーマや色の変更など、多彩なデザイン編集が可能です。ブランドイメージに合わせたフォームを公開したい場合に適しています。 - Googleスプレッドシートと連携して詳細な分析をしたい
大量のデータを分析するには、スプレッドシートを使いこなすと便利です。特にGoogleの他サービス(Gmail、Google Data Studio など)と組み合わせる運用を想定しているなら、Googleフォームが堅実でしょう。
5. Notionフォームを使いこなすためのポイント
Notionフォームをより効果的に利用するには、いくつかのポイントがあります。初心者の方でもこのポイントを押さえておくと、運用が格段にラクになります。
5-1. データベース設計をしっかり行う
Notionフォームの回答は、紐づいているデータベースのプロパティに自動的に割り当てられます。つまり、最初にどのようなプロパティを持つデータベースを作成するかが非常に重要です。
- 例: バグ報告を受け取るのであれば「報告者」「発生日時」「バグ内容」「優先度」「担当者」などのプロパティをあらかじめ設定しておきましょう。
5-2. フォームの見やすさを意識する
NotionフォームはGoogleフォームに比べるとデザインのカスタマイズ幅が限られていますが、その分質問の順番や説明文、必須項目の設定などを丁寧に行うことで、回答者がストレスなく記入できるフォームに仕上げられます。
5-3. 自動化・通知機能の活用
Notionには、特定の条件を満たしたときにページやデータベースに変更を加える「Automations(オートメーション)機能」が存在します(有料プランなどの制限によって利用の可否やトリガー数に上限がある場合があります)。
例えば、フォームで新規のバグ報告があったら担当者に自動通知する、問い合わせフォームの回答があったらSlackやメールに通知する――といった連携を整えることで、より素早いアクションが可能になります。
5-4. 多数の回答が来る場合の集計方法
回答が増えてくると、データベースが大きくなり、必要な情報を探しづらくなるかもしれません。その場合は以下の方法で効率的に管理できます。
- フィルター機能を活用: 特定の条件(たとえば「優先度が高いバグ報告だけ表示」)に絞り込む。
- グループ化機能を利用: データベースのビューを「担当者別」「ステータス別」などでグループ化すると可視性が上がります。
- 別ビューを作成: カンバンビューやカレンダービューを追加し、状況に合わせて管理方法を切り替えるのも効果的です。
5-5. 必要に応じて外部連携も検討
NotionフォームはNotion内で完結できる強みがありますが、場合によってはZapierやMake(旧Integromat)などの外部ツールを使うと、さらに高度な自動化が可能になります。
例えば、フォームの回答内容に応じて自動的にメールを送る、チャットツールにメッセージを送る、といったワークフローが簡単に構築できます。
6. 注意すべきデメリット・制限事項
Notionフォームは非常に便利ですが、全てのニーズに対応できるわけではないという点を理解しておきましょう。
以下のようなデメリットや制限事項があります。
-
質問形式の種類が少ない
現時点では、Googleフォームのような「条件分岐」「ファイルアップロード」などの高度な機能は未対応です。シンプルなテキスト入力や選択式がメインとなるため、複雑なアンケートには向かない場合があります。 -
デザインのカスタマイズ性が低い
フォームの見た目を大幅に変えたい、企業イメージに合わせたデザインを採用したい――という場合は制限を感じるかもしれません。 -
無料プランの制限
Notionの無料プランでは、データベース数や共同編集者数などに制限があります。フォーム自体は作成できますが、大規模な運用をする際には有料プランの検討が必要です。 -
外部ツールとの統合には追加作業が必要
通常、Notionフォーム内で集めたデータを更に外部のBIツールや高度な分析ツールで使いたい場合、一度エクスポートするか、Zapierなどと連携する必要があります。Googleフォームのようにワンクリックでスプレッドシートを連動できるわけではありません。
ただし、これらの制限が気にならない用途においては、むしろNotionフォームを使うことで管理がシンプルになる利点があります。自社やチームの用途に合うかどうかを見極めて導入すると良いでしょう。
まとめ
本記事では、Notionフォームの特徴から活用事例、そしてGoogleフォームとの比較や運用のポイントを中心に解説してきました。
最後に要点をおさらいしてみましょう。
-
Notionフォームは2024年10月に正式リリースされたネイティブ機能
Notionだけでフォームを作成し、回答結果をデータベースに自動保存できるようになり、プロジェクト管理や情報整理の効率が大幅に向上。 -
活用事例はさまざま
アンケート調査、イベント出欠確認、問い合わせ管理、バグ報告、作業時間報告など、あらゆるシーンでフォームを活用できる。 -
Googleフォームとの比較
- Notionフォームは「Notionとの連携重視」「シンプル運用向け」
- Googleフォームは「高度な質問形式」「デザインカスタマイズ」や「Googleスプレッドシート連携」に強み。
-
使いこなすためのポイント
- データベース設計をしっかり行う
- 質問の順番や説明文に配慮してわかりやすいフォームを作る
- オートメーションや外部連携を積極的に検討する
-
デメリット・制限事項も理解しよう
質問形式やデザインの自由度、無料プラン制限など、利用シーンによっては不向きな場合があるので注意が必要。
もしあなたやあなたのチームが日常的にNotionを使っているのであれば、Notionフォームを導入することで、データの一元管理やプロジェクト管理のさらなる効率化が期待できます。
一方で、より複雑なアンケートや高度なデータ分析が必要な場合はGoogleフォームや他のフォームツールも検討すると良いでしょう。
ぜひこの機会に、Notionフォームを試してみてください。シンプルな使い心地やNotionとの連携のしやすさが、一度使い始めると手放せなくなる大きな魅力となるはずです。
以上が、初心者にもわかりやすく、かつ読み応えのあるNotionフォームに関する解説記事です。皆さんのワークフローがさらに快適になるきっかけになれば幸いです。
今後も新機能の追加などにより、Notionフォームの可能性は広がり続けることでしょう。ぜひあなたの現場やプロジェクトに合った形で、Notionフォームを活用してみてください。