記事を更新したあとで、必要な段落まで消していたことに気づく。WordPressを使っていると、一度はそんな場面に出くわしますよね。
手元に原稿が残っていなくても、リビジョンに以前の版が保存されていれば、変更箇所を見比べたうえで元の内容へ戻せます。
慌てて復元する前に、履歴の見方と戻せる範囲を押さえておきましょう。
消した文章はリビジョンから戻せる場合がある
戻し方の基本は、次の流れです。
- 戻したい投稿・固定ページの編集画面を開く
- 設定サイドバーからリビジョン画面へ移動する
- 版を切り替えながら、追加・削除・変更された箇所を比べる
- 戻したい版を決めて復元する
- 編集画面と公開ページで仕上がりを確認する
ポイントは、いきなり古い版へ戻すのではなく、「どの変更まで戻すのか」を比較画面で見極めることです。
消えたのが一段落だけなら、ページ全体を巻き戻すより、古い版の文章をコピーして今の原稿へ貼り直す方が安全なケースも多いでしょう。
なお、リビジョンが扱うのは投稿や固定ページの編集履歴です。
テーマやプラグイン、画像ファイル、サイト設定まで元に戻す仕組みではないので、記事の書き直しとサイト障害からの復旧は別の問題として考えてください。
WordPressのリビジョンとは
リビジョンは、下書きを保存したときや公開中の記事を更新したときに、その時点の内容を記録しておく機能です。
履歴が複数残っていれば、版を行き来しながら追加・削除された部分を見比べ、目的の時点を選んで復元できます。
「ひとつ前に戻す」だけでなく、どの時点の内容がちょうどいいかを探せるのが便利なところですね。
たとえば、こんな場面で役に立ちます。
- 更新した直後に、必要な段落まで消していたと気づいた
- 何度か書き直したものの、以前の説明の方が分かりやすかった
- 複数人で編集していて、誰がどこを変えたのか確かめたい
- 公開中の記事を直したあとで、修正前の内容を参照したい
リビジョンに記録される内容
標準で変更が記録されるのは、タイトル・投稿者・本文・抜粋の4つです。本文だけでなく、タイトルを書き換えた場合も比較の対象になります。
編集画面にある項目が、すべて同じように戻るわけではありません。カスタムフィールドやページビルダー独自のデータ、SEOプラグインのタイトル・説明文など、テーマやプラグインが追加した入力欄は保存の仕組みが別になっていることがあります。こうした項目を使っているサイトでは、実際に復元の対象になるかを自分の環境で確かめておくと安心です。
自動保存は通常のリビジョンと保存のされ方が違う
自動保存は、編集中の内容をWordPressが一定の間隔で一時保存する仕組みです。
残るのは1つの投稿につきユーザーごとに最大1件で、新しい自動保存が来るたびに前のものは上書きされます。複数人で編集している場合は、それぞれのユーザーに1件ずつ残る形です。
自動保存の内容が、公開中の記事を直接書き換えることはありません。
特別な種類のリビジョンとして別に保存されていて、ブラウザが落ちたり通信が切れたりしたあとに編集画面を開き直すと、バックアップから復元するための案内が表示されます。
リビジョン画面でも自動保存であることを示すラベルが付くので、通常の履歴と見分けられます。
通常のリビジョンは保存・更新した履歴を比べて戻すためのもの、自動保存は保存し損ねた編集中の内容を取り戻す手がかり。こう分けて考えると分かりやすいでしょう。
リビジョンを開いて以前の版へ復元する手順
リビジョン画面の見た目は、WordPressのバージョンによって変わります。7.0以降は新しいリビジョン画面、6.9以前は従来の「クラシック画面」です。
操作の流れはどちらも同じなので、説明と画面が違って見えるときは、管理画面の「ダッシュボード」→「更新」で利用中のバージョンを確かめてみてください。
投稿・固定ページの編集画面を開く
まずは戻したい投稿か固定ページを開きます。似たタイトルの下書きが並んでいる場合は、公開状態や更新日時も見て、対象を取り違えないようにしましょう。
復元に入る前に、今の本文をテキストエディタなどへコピーしておくのもおすすめです。WordPressの機能ではないものの、戻し過ぎたときの保険としてはこれで十分です。
設定サイドバーからリビジョンを開く
編集画面の設定サイドバーを開き、「投稿」(固定ページなら「固定ページ」)のタブを選んでください。その中にある「リビジョン」の件数をクリックすると、履歴の画面へ移動します。
7.0以降は新しいリビジョン画面が、6.9以前はクラシック画面が開きます。7.0でもサイドバーからクラシック画面を開けるので、見慣れた画面で比べたい人はそちらを選んでも構いません。
リビジョンの項目そのものが見当たらないときは、まだ比べられる履歴がない、サイト側で保存数が制限されているなど、いくつかの原因が考えられます。
テーマやプラグイン、編集権限が関わっていることもあるため、決めつけずにサイト管理者へ設定を確認してもらいましょう。
変更箇所を比較する
新しい画面で版を切り替えるには、上部のスライダーを動かすか、リビジョンの一覧から選ぶのが基本です。
スクロールバーの横に並ぶ色付きの目印は変更箇所の位置と大きさを表していて、クリックするとその場所へ移動できます。
| 目印の色 | 意味 |
|---|---|
| 緑(塗りつぶし) | 追加されたブロック |
| 赤(右上がりの斜線) | 削除されたブロック |
| 黄(右下がりの斜線) | 変更されたブロック |
色付きの表示はスライダー左側のアイコンでオン・オフできるので、邪魔に感じたら消しておくと読みやすいでしょう。
クラシック画面の場合は、内容のHTML版を左右に並べて比べる形です。
スライダーか「前へ」「次へ」のボタンで版を移動でき、「任意の2つのリビジョンを比較」をオンにすれば、離れた時点同士も比べられます。
比べるときは、日時だけで決めないのがポイントです。
保存した人や変更された箇所、今の記事に残したい部分を見ながら、「どの版が正解か」ではなく「何を戻したいか」で選ぶと迷いにくくなります。
戻したい版を選んで復元する
戻したい版が決まったら、その版を表示した状態で復元ボタンを押します。ボタン名は新しい画面の英語表示で「Restore」、クラシック画面で「このリビジョンを復元」です。
表記はバージョンや翻訳の状況で変わることがあるので、押す前に表示中の版をもう一度確かめてください。
公開中の記事では、ボタンを押した時点で公開ページの内容も置き換わると考えて操作しましょう。
少なくともクラシック画面の復元は、編集画面で「更新」を押すのを待たずに、そのまま記事へ反映されます。
復元したら、次の点を確かめておくと安心です。
- 戻したかった文章が入っているか
- 残すはずだった新しい変更まで消えていないか
- タイトルと抜粋が意図した内容になっているか
- 見出し・リンク・画像の配置が崩れていないか
- 公開ページの表示に問題がないか
復元する前に確認したい注意点
リビジョンは便利ですが、何でも元に戻せるわけではありません。戻せるものと別の備えが必要なものを先に切り分けておくと、いざというときに迷わずに済みます。
リビジョンはサイト全体のバックアップではない
リビジョンが扱うのは、あくまで投稿や固定ページの保存履歴です。次のようなトラブルは、リビジョンだけでは立て直せません。
- 管理画面にログインできない、WordPress自体が動かない
- テーマやプラグインを更新したら、サイト全体が表示されなくなった
- メディアから画像ファイルを削除してしまった
- サイトの設定やデータベース全体に問題が起きた
- サーバー障害や不正アクセスのあと、環境ごと元に戻したい
こうした事態に備えるのは、サーバー側の機能やバックアップ用プラグインで取るサイト全体のバックアップです。
リビジョンは記事の編集履歴、バックアップはサイトを丸ごと戻す手段と、役割を分けて考えましょう。

復元前に現在の文章を退避する
古い版へ戻すと、消えた段落が戻ってくるのと引き換えに、その版より後に加えた修正もまとめて巻き戻ります。
最近追加したリンクや案内文を残したいなら、今の本文を別の場所へ控えておき、復元後に見比べられるようにしておくのが確実です。
控えが役立つ理由はほかにもあります。編集画面でまだ保存していない変更や、リビジョンの記録対象に入らない独自の入力欄は、履歴からは取り戻せません。
保存件数を制限しているサイトなら、古い履歴が更新のたびに自動で消えていくこともあります。
複数人で更新しているページには、ほかの担当者の修正も含まれているかもしれません。公
開中の重要なページを戻す前に、誰が何のために直したのかを確かめ、必要に応じて関係者と戻す範囲をすり合わせておくと安全です。
保存数の変更は運用環境を確認してから行う
WordPressは初期設定のまま、更新のたびにリビジョンを残し続けます。
保存件数は wp-config.php の WP_POST_REVISIONS で変えられ、値ごとの動きは次のとおりです。
| 設定値 | 動き |
|---|---|
true または -1(初期値) | すべてのリビジョンを保存する |
false または 0 | リビジョンを保存しない(投稿ごと・ユーザーごとの自動保存1件は残る) |
正の整数(例 3) | 指定した件数まで保存し、記事を更新すると古いものから自動で削除される |
自動保存の間隔は初期値が60秒で、こちらは AUTOSAVE_INTERVAL で変更できます。
また、標準の管理画面にはリビジョンを個別に削除する画面がありません。履歴を減らしたい場合も、こうした設定の見直しか専用のプラグインに頼ることになります。
どちらもサーバー上の設定ファイルを書き換える操作で、記述を一か所間違えるだけでサイトが表示されなくなることもあります。一覧を整理したいという理由だけで、初心者が手を出すのはおすすめしません。
変更するなら、利用中のサーバーや保守担当者、バックアップの状況を確かめてから判断してください。ホスティング環境やプラグイン側で動きが変わるケースもあるため、変更後の動作確認も欠かせません。
リビジョンが向いている場面・別の方法が向いている場面
リビジョンが活躍するのは、問題が投稿や固定ページの中身だけで完結しているときです。
消した文章を探す、修正前の表現を確かめる、何度かの編集の差分を見比べる。こうした用途なら、真っ先に開いてみる価値があります。
一方で、状況によっては別のやり方の方が合っています。
- 数行だけ戻したい
-
以前の版を参照し、必要な部分だけ今の原稿へ反映する
- 大きな編集を公開前に試したい
-
下書きやステージング環境で変更を確認する
- 画像やテーマ設定も戻したい
-
サイト全体のバックアップから復旧する手順を確認する
- 共同編集での行き違いを減らしたい
-
編集・確認・公開の担当と、作業する時間帯を決めておく
- リビジョンが表示されない
-
保存履歴や権限、サイト設定を管理者に確認してもらう
どの方法を選ぶにしても、公開中のページに手を入れるなら、変更前の状態と変更後に確かめる項目を用意しておくと判断がぶれません。
編集事故を減らすための運用
リビジョンは失敗したあとの復旧に役立ちますが、普段の編集手順を整えておけば、戻す場面そのものを減らせます。
大きな修正に取りかかる前は、何を変えるのかを短くメモしておきましょう。
「料金案内を更新する」「古い手順を差し替える」のように目的がはっきりしていれば、比較画面でも残す変更と戻す変更を見分けやすくなります。
更新前のプレビューでは、記事に合わせて確認項目を決めておくのがおすすめです。たとえば次のような項目があります。
- 本文に誤字や抜けがないか
- リンク先が正しく開くか
- 見出しの順番と階層が崩れていないか
- 画像が意図した位置に表示されているか
- スマートフォンで見ても読みやすいか
公開後にも一度ページを開き、意図した変更が反映されているか見ておくと安心ですね。
重要な記事なら、WordPressの履歴だけに頼らず、元原稿を文書ファイルやバージョン管理できる場所にも残しておくと心強いです。
貼り付ける前の原稿が手元にあれば、リビジョンが使えない状況でも文章を確かめられます。
そのうえで、サイト全体のバックアップも別に用意しておきましょう。
リビジョンとバックアップはどちらかを選ぶものではなく、守備範囲の違う備えです。両方がそろっていれば、トラブルの種類に応じて落ち着いて対処できます。
まとめ
WordPressで文章を消してしまったり、更新前の内容に戻したくなったりしたら、まずは対象の投稿・固定ページにリビジョンが残っているかを確かめましょう。
履歴を開いたら、日時だけで決めずに追加・削除・変更された箇所を見比べ、戻す版を選ぶのが基本です。
- 戻す前に、比較画面で「何を戻したいか」を見極める
- 公開中の記事は、復元した時点で公開ページも切り替わる前提で操作する
- 自動保存は、保存し損ねた編集中の内容を取り戻すための仕組み
- リビジョンで戻せるのは記事の編集内容まで。サイト全体はバックアップで備える
迷ったときは「問題が記事の中だけで済んでいるか、サイト全体に及んでいるか」を最初に考えてください。
記事の中の変更ならリビジョンで比べ、それより広い問題ならバックアップや保守の手順に切り替える。この順番を決めておけば、必要以上に大きな復旧作業をせずに済みます。



