提案書や講座資料をAIに任せてみたいものの、どこまで下書きを信じてよいのか、PowerPointとGoogle Slidesのどちらで進めればいいのかで迷っていませんか?
この記事では、AIに任せる工程と人が判断する工程の分け方を整理します。あわせて、PowerPoint CopilotとGemini in Google Slidesの選び分けと、配布前に確認したい点も取り上げます。
AIでの資料作成は「完成品を一度に出す」より工程を分ける
提案書や講座資料を作るとき、白紙のスライドを前に手が止まることがあります。伝えたい中身は決まっているのに、話す順番、見出しの言葉、図にする部分まで同時に考えようとするから負担が大きいんですよね。
AIは、この最初の整理を助ける道具として使えます。ただし、完成品を一度に出させようとすると、どこをどう直せばよいのかがかえって見えにくくなってしまいます。
先に結論を書くと、AIでの資料作成は次の4工程に分けたほうが修正しやすくなります。
誰に何を伝えるのか、どの数字や事例を必ず入れるのかを先に決めます。
論点の抜けと順番のずれは、この段階で直します。
1枚ずつ役割を確かめながら整えていきます。
数字、固有名詞、引用、結論のずれがないかを確認します。
PowerPoint CopilotもGemini in Google Slidesも、生成した内容を後から編集する前提の機能です。
Microsoftは生成物を人が確認し編集する必要があると案内していますし、Googleも生成結果が不正確な場合があることを前提に、フィードバックの手段を用意しています。
AIが出してくるのは、確認を始めるための土台。誰に何を伝え、どの行動につなげたいのかという判断まで任せる相手ではありません。

AIへ渡す前に資料の目的と材料をそろえる
機能を比べる前に、資料の設計条件を短く決めておきます。
入力が曖昧なままだと、見た目は整っているのに相手へ伝わらない資料が出てきやすいからです。ここで決めた条件は、あとの事実確認の基準にもなります。
最低限決めたい5項目
最初に、次の5つを書き出します。
- 見せる相手
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誰に向けた資料なのかを一言で書きます。
- 理解してほしいこと
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読み終えた相手に何が残ればよいのかを決めます。
- 取ってほしい行動
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説明のあと、相手にどう動いてほしいのかを書きます。
- 必ず含める材料
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外せない数字、事例、条件を挙げます。
- 制約
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枚数、時間、文体、デザイン上の決まりを書き出します。
たとえば講座の説明資料なら、「初めて参加を検討する人向け」「講座の対象者と進め方を理解してもらう」「最後に問い合わせ方法を案内する」あたりを先に決めておきます。
条件が固まっていれば、AIへの指示も具体的になります。
指示の出し方も「講座紹介の資料を作って」で終わらせず、対象読者、目的、必要な項目、希望する枚数を分けて渡します。PowerPoint CopilotとGemini in Google Slidesは、どちらも生成前のアウトラインや計画を確認して調整する流れが案内されています。
この確認の機会を、資料の目的を整え直す工程として使うのがおすすめです。
元資料は事実確認の基準として残す
商品名、価格、日程、実績、調査結果を含む資料では、根拠になるファイルを一か所に集めておきます。AIに参照させる場合も元の文書や表は消さず、どの情報を使ったのかを追える状態にしておきたいところ。
Gemini in Google Slidesは、Google Drive上のファイルを参照して回答やスライドを作り、使ったファイルをSourcesから確認できると案内されています。
PowerPoint Copilotも、プロンプトに加えて組織のテンプレートや構造を整えたWord文書を資料作成に活用できます。
参照する機能があっても、元資料の中身が正しいことまでは保証されません。古い料金表と新しい料金表が混ざっていないか、内部メモを外部向けの資料に含めてよいのか、こうした判断は生成の前に人が済ませておきます。
AIで資料を作る基本の流れ
使うツールが違っても、実務での進め方はそれほど変わりません。
全スライドをいきなり完成させようとせず、構成、生成、確認の順に確定していきます。工程を分けておくと、どこで手戻りが起きたのかも追いやすくなるはずです。
まずアウトラインだけを作る
最初に作るのは、各スライドのタイトルと役割だけ。提案資料なら、現状、課題、提案内容、実施方法、費用、次の行動といった並びです。
この段階で見るのは文章の美しさではなく、論点のほうになります。同じ説明が重複していないか、結論に必要な前提が抜けていないか、相手が知りたい順番になっているかを確認しましょう。
PowerPoint Copilotは、プロンプトからアウトラインを作り、調整してからスライドを生成する流れが案内されています。
Gemini in Google Slidesも、参照した資料や各スライドの内容を含む生成計画を、生成に進む前に調整できる仕組みです。
先にアウトラインを直しておけば、不要なスライドを大量に生成してから作り直す手間を減らせます。
スライドを生成して1枚ずつ直す
アウトラインが固まったら、スライド案を生成します。ここからは全体をまとめて眺めるのではなく、1枚ずつ次の観点で見ていきます。
- このスライドで伝えることが1つに絞れているか
- 見出しと本文の内容が一致しているか
- 前後のスライドと論理がつながっているか
- 図や画像が説明を助けているか
- 読み手に求める次の行動が明確か
PowerPoint Copilotは生成後もスライドを編集できますし、Gemini in Google Slidesもスライドや画像の生成、文章の書き換えに対応しています。
全体を作り直す指示を繰り返すより、修正対象と目的を限定するほうが直ったかどうかを判断しやすくなります。「このスライドは結論を先にする」「この段落を2つの要点に分ける」といった具合です。
最後に数字や引用を元資料と照合する
デザインが整うと、中身まで正しく見えてしまうことがあります。見た目の完成度と内容の正しさは別物なので、配布や納品の前に、数字、日付、人名、商品名、URL、引用、利用条件を元資料と突き合わせます。
料金や実績の数字、法務、税務、医療のように判断への影響が大きい内容は、AIの出力だけを根拠にしません。資料の結論が元資料の範囲を超えていないかも、あわせて確認します。
生成した画像を使う場合は、内容との整合性、権利関係、社内や取引先のルールも確認が必要になります。
PowerPoint Copilotで生成したAI画像については、AI生成であることを示す情報がスピーカーノートに入ると案内されています。実際にどう表示されるかは、自分の利用環境で確かめてください。
PowerPoint Copilotが向いている場面
PowerPoint Copilotが候補になるのは、普段からPowerPointで資料を作り、Microsoft 365の環境の中で編集を続けたい場合です。公式サポートでは、プロンプトからプレゼンテーションを作り、アウトラインを調整してからスライドを生成する流れが説明されています。
組織で標準のPowerPointテンプレートを使っているなら、そこから始める方法もあります。構造を整えたWord文書を資料作成へ活用する使い方もあり、手元にある資産をそのまま材料にできます。
気をつけたいのは、Copilotが表示されるかどうかがMicrosoft 365の契約や組織の設定によって変わる場合があること。画面に見当たらないときは、操作方法を探す前に契約と管理者設定を確認したほうが早く片づきます。
Gemini in Google Slidesが向いている場面
Gemini in Google Slidesは、普段からGoogle SlidesとGoogle Driveを使い、ブラウザー上で資料を共同編集している場合の候補になります。
公式ヘルプでは、スライドや画像の生成、文章の書き換え、Google DriveやGmailの参照、プレゼンテーションの要約が案内されています。
資料一式を生成する機能では、Google Drive上のファイルや既存の資料を参照元として追加でき、生成前の計画で使用する資料と各スライドの概要を確認できます。
2026年7月25日に確認した公式ヘルプでは、プレゼンテーション一式を生成する機能について、対象となるプランが必要で、デスクトップかつ英語のみと記載されています。
提供範囲は変わる可能性があるため、日本語環境で同じ操作ができるかどうかは、導入を決める前に自分のアカウントで確かめてください。
Google Slides上で使える個々の機能と、プレゼンテーション一式を生成する機能とでは、提供条件が同じとは限りません。「Geminiが使えるのだから生成機能もすべて使えるはず」と決めつけず、実際のアカウントで表示を確かめておくと安心です。
2つのツールを選ぶ比較軸
どちらが優れているかではなく、いまの仕事の流れに合うほうを選びます。
| 比較軸 | PowerPoint Copilotを検討しやすい場面 | Gemini in Google Slidesを検討しやすい場面 |
|---|---|---|
| 普段の編集環境 | PowerPointを中心に使う | Google Slidesを中心に使う |
| 既存資料 | Word文書やPowerPointテンプレートを活用したい | Google Drive上の資料や既存デッキを参照したい |
| 編集の進め方 | PowerPoint内で生成後も調整したい | ブラウザー上でスライドを編集したい |
| 利用条件 | Microsoft 365の契約と組織設定を確認できる | 対象プラン、言語、提供状況を確認できる |
| 運用の優先点 | 組織のPowerPoint様式を保ちたい | Google環境内の資料を参照しながら進めたい |
社内や取引先でファイル形式が決まっているなら、その形式を優先したほうが受け渡しは簡単です。AI機能だけを理由に編集環境を乗り換えると、フォント、レイアウト、権限、共有方法の確認が一気に増えます。
判断を短くまとめると、PowerPointを標準で使っているならPowerPoint Copilotの利用条件を確認します。Google SlidesとGoogle Driveが中心なら、Gemini in Google Slidesの利用条件を確かめましょう。
どちらの機能も使えない場合は、構成だけを文章生成AIに任せる方法が残ります。入力が認められていない情報を扱うなら、AIを使わずテンプレートとチェックリストで進めましょう。
決めきれないときは、実際に作る予定の短い資料を1つ選び、同じ目的と元資料で両方を試すのが早道です。
生成にかかった時間だけでなく、修正に使った時間、根拠を追いやすいか、最終形式へ整えやすいかまで記録しておくと、自分の業務に合うほうを判断しやすくなります。
AIで資料を作るときに確認したいこと
工程を分けても、確認を省くとつまずく場所はだいたい決まっています。次の4点は、生成の前後で毎回見ておきたいところ。
- 生成内容の事実確認
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自然な文章と整ったスライドが出てきても、数字や因果関係が正しいとは限りません。Microsoftも生成物を人が確認・編集するよう案内していますし、Googleも不正確な提案があり得ることを示しています。
- 機密情報と個人情報の扱い
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顧客名、未公開の売上、契約内容、個人の連絡先を、そのまま入力してよいとは限りません。Googleは、フィードバックが人に読まれる可能性があるとして、個人情報、機密情報、センシティブな情報を含めないよう案内しています。
通常利用時のデータ保護条件は、契約や管理設定を含めて各組織で確認しましょう。
- 契約と提供状況
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両サービスとも、プラン、管理者設定、言語によって使える機能が異なる可能性があります。無料で使える範囲や料金は変わりやすいため、導入を決める直前に公式ページを見ておきます。
- デザインの位置づけ
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画像や装飾が増えても、結論が伝わりやすくなるとは限りません。読み手、目的、次の行動に必要な情報を優先し、それ以外は減らします。
AIでの資料作成が向いている人、向かない人
向いているのは、伝える中身の材料がそろっていて、構成や初稿づくりの時間を短くしたい人です。定型の説明資料を対象者別に作り分ける場合や、長い元資料から論点を整理したい場合にも使えます。
反対に、根拠資料がない状態でAIに調査から結論まで任せたい人には向きません。
利用サービスへの入力が認められていない情報を扱う業務も、対象から外します。細かなブランド表現や複雑な図版を厳密に再現したい資料は、生成後の修正量が大きくなりやすいところ。
分かれ目は、生成できるかどうかではなく、確認できる体制があるかどうかだと考えています。元資料と照合する担当者、最終承認者、修正期限が決まっていれば、AIの下書きは業務に組み込みやすくなるはずです。
専用機能を使わない代替手段
PowerPoint CopilotもGemini in Google Slidesも使えないとき、資料作成をすべて手作業に戻す必要はありません。一般的な文章生成AIに対象読者、目的、元資料の要点を渡し、アウトラインと各スライドの要点だけを作ってもらう方法があります。
出てきた内容は、自分でPowerPointやGoogle Slidesへ移してデザインを整えます。
この方法ではスライドの自動生成やアプリ内での編集はできませんが、AIへ渡す情報を絞りやすく、構成を確認してから手作業へ移れる利点があります。
会社や取引先のルールで外部のAIへ資料を入力できないなら、既存のテンプレートとチェックリストだけで進めるのも選択肢。
専用機能があるかどうかより、目的の明確化、アウトラインの確認、根拠との照合という工程を守れるかどうかが効いてきます。

まとめ
AIで資料を作るときは、ツール選びからではなく、誰に何を伝える資料なのかを決めるところから始めます。そのうえでアウトライン、スライド生成、内容確認の順に進めると、手戻りが小さくなります。
PowerPoint中心ならPowerPoint Copilot、Google SlidesとGoogle Drive中心ならGemini in Google Slidesが候補。ただし、契約、管理者設定、言語、提供状況によって使える機能は変わります。
まずは自分のアカウントで何が表示されるかを確かめるところからです。
試すときは短い資料を1つ選び、生成時間だけでなく修正時間と事実確認のしやすさまで記録してみてください。
自分の業務に合うかどうかは、完成した見た目ではなく、確認を含めた全工程で判断するのが現実的だと考えています。


