ChatGPTの回答が毎回違う形で返ってくる、同じ前提を何度も打ち直している。仕事で使っているとよくある悩みですよね。
カスタム指示を使えば、回答の形式や共通の前提を一度登録するだけで、全チャットへ適用できます。設定の手順に加えて、メモリやProjectsとの使い分け、仕事で入れない方がよい情報まで整理しました。
カスタム指示は「毎回伝える共通ルール」を登録する機能
「結論から書いてください」「専門用語には短い説明を添えてください」「箇条書きを中心にしてください」。
仕事でChatGPTを使っていると、こうした同じ希望を会話のたびに打ち込むことになります。カスタム指示は、その共通ルールをあらかじめ登録しておく機能です。
登録した内容は全チャットへ直ちに反映されます。既存の会話も対象なので、設定を変えたあとにわざわざ新しいスレッドを立て直す必要はありません。
Web、デスクトップ、iOS、Androidのいずれでも、プランを問わず使えます。
仕事で使うときの基本は、長い業務マニュアルを丸ごと登録することではありません。頻繁に繰り返していて、しかも内容が安定している希望だけを置くのがポイントです。
たとえば、次のような内容が共通ルールに向いています。
- 最初に結論を示す
- 初心者向けに専門用語を説明する
- 比較ではメリットだけでなく制約も示す
- 不明な事実を推測せず、確認事項として分ける
- 日付を西暦で表記する
- 表より箇条書きを優先する
一方、特定顧客の情報、今月だけのキャンペーン条件、ひとつの案件でしか使わないブランド表現などは、全チャットへ適用する設定に向きません。
カスタム指示は「いつでも守ってほしい共通部分」に絞り、案件固有の情報はProjectsや会話ごとの依頼へ分けた方が管理しやすくなります。
カスタム指示・メモリ・Projectsの違い
カスタム指示と混同しやすいのが、メモリとProjectsです。3つとも回答へ文脈を与えますが、情報を入れる目的が違います。
| 機能 | 主な役割 | 入れる内容の例 |
|---|---|---|
| カスタム指示 | 全体で使う明示的な回答方針 | 結論優先、文体、説明の詳しさ、確認方法 |
| メモリ | 会話やファイルなどから有用な文脈を引き継ぐ | 継続的な好み、背景、会話で共有した情報 |
| Projects | 継続案件のチャット、参考ファイル、案件用指示をまとめる | 商品Aの資料、顧客向けFAQ、案件固有の表記ルール |
自分で明示して固定したいルールはカスタム指示、会話で共有した内容から引き継ぐ背景はメモリ。これが基本の切り分けです。「必ず箇条書きで要点を出す」はカスタム指示向き。
一方「私が運営する教室の対象は初心者です」といった背景は、扱い方によってメモリにも案件用のProjectにもなります。
Projectsでは、プロジェクト設定から追加した専用の指示が、対象のProject内だけで適用され、全体のカスタム指示より優先されます。
案件ごとに文体や前提が違うなら、全体設定へ条件を足し続けるより、Projectを分けた方が混乱は少ないでしょう。
とはいえ、厳密な分類試験ではありません。迷ったら、次の順で当てはめていくと整理しやすくなります。
- ほぼすべての会話で使うか
- 自分が明示して固定したいルールか
- 特定の案件だけで必要か
- 会話から自然に引き継いでほしい背景か
「全体で使い、自分で固定したい」ならカスタム指示、「案件限定」ならProjects、「会話由来の背景」ならメモリ。この3つで大半は振り分けられます。

仕事用カスタム指示を作る手順
設定欄そのものは、数クリックで開けます。日本語環境でも項目名が英語のままの箇所があるので、次の順で探すと迷いません。
- Web・デスクトップは、設定の「Personalization」から「Custom Instructions」へ進む
- iOS・Androidは、設定の「Customize ChatGPT」を開く
- どちらも「Enable customization」をオンにしてから入力する
画面名や配置は変更されることがあります。表示が説明と違ったら、設定内で「Custom」や「Personal」を手がかりに探してみてください。
設定欄を開く前に、何を書くかを整理しておくと失敗しにくくなります。
まず繰り返している指示を集める
直近の仕事でChatGPTへ何度も書いた一文を、3〜5個集めてみましょう。選ぶ基準は、結果を目で確認できるかどうかです。
「丁寧に書いて」のような抽象語は、書いた本人と回答の間で期待がずれやすくなります。
| 抽象的な書き方 | 確認できる書き方 |
|---|---|
| わかりやすく説明する | 専門用語は初出時に一文で説明する |
| 良い文章にする | 結論、理由、次の行動の順に書く |
全部を一度に自動化しようとせず、回答の読みやすさへ直接効く項目から始めるのがおすすめです。
短いブロックに分けて登録する
登録するときは、役割、回答形式、事実確認、避けることのように分けておくと、あとで見直しやすくなります。
# 対象読者
ITに詳しくない個人事業主を想定する。
# 回答形式
最初に結論を示す。手順は番号付きで書く。
専門用語は初出時に短く説明する。
# 事実確認
確認できない仕様や数値を推測しない。
確認が必要な項目は回答末尾に分ける。
# 避けること
過度な煽りや、効果を保証する表現を使わない。
これは完成テンプレートではなく出発点です。普段の用途に不要な条件は削りましょう。ルールが多いほど良いわけではありません。
互いに矛盾する条件や例外が増えると、回答の焦点はかえってぼやけます。
新しいチャットで回答をテストする
設定が終わったら、普段よく頼む作業を新しいチャットで1件だけ試してみましょう。
変更は既存の会話にも直ちに反映されますが、過去のやり取りが残っている会話では、それまでの文脈も回答へ影響します。
効き方を確かめるなら、まっさらな状態から始めた方が比較しやすいですね。
確認するのは次の4点です。
- 結論の位置は希望どおりか
- 指定した形式になっているか
- 余計な前置きが増えていないか
- 個別の依頼を邪魔していないか
効き方が弱いときは、同じ意味の文章を足すより、曖昧な表現を具体化します。逆に効きすぎるときは「常に」を減らし、「比較を依頼した場合」のように適用条件を付けてみてください。
仕事で使いやすいカスタム指示の例
ゼロから考えるより、たたき台があった方が早く決まります。
用途別に3つ挙げておきます。どれも短く、そのまま貼り付けても扱える分量にしました。自分の仕事に合わない行は削って構いません。
メール下書きの確認を重視する例
メール案は、件名、本文、送信前確認の順に出す。
相手との関係や期限が不明なら推測せず、確認事項を先に尋ねる。
金額、日付、固有名詞は入力内容から変更しない。
毎回使う出力形式と、事故を避けるための確認方針だけを入れた例です。取引先名や実際の金額まで保存する必要はありません。
調査の根拠を追いやすくする例
事実と提案を分けて書く。
変更されやすい料金・仕様・利用条件には確認日と出典を付ける。
一次情報を確認できない場合は、その旨を明示する。
アイデア出しを実務判断につなげる例
案を出す場合は3案までに絞る。
各案に、向く状況、必要な作業、注意点を添える。
最後に推奨案と推奨理由を示す。
案の数を増やすより、比較軸を固定した方が選びやすくなる場面は多いものです。自分が実際に判断するとき見ている項目を、そのまま設定へ移すのがポイントです。
うまく効かないときの見直し方
カスタム指示を設定しても、すべての回答が同じ形になるとは限りません。個別チャットの依頼内容、会話履歴、メモリ、Projectの指示も回答へ関わってくるからです。
次の順で見ていくと、原因を絞り込めます。
Project内で使っているなら、まずプロジェクト指示を見てください。Projectの指示は、そのProject内では全体のカスタム指示を上書きします。
全体設定で「簡潔に」、Project側で「背景を詳しく」と書いていれば、通るのはProject側の意図です。
「プロらしく」「詳しく」「自然に」といった言葉は、人によって期待する結果が違います。「300〜500字」「3項目の箇条書き」「冒頭に一文の結論」のように、確認できる形へ直しましょう。
それでも安定しないなら、カスタム指示へ足し続けるのではなく、会話の冒頭に今回の依頼条件を書きます。全体ルールと衝突しそうなときは、「今回は表形式を使う」のように例外を具体的に伝えます。
データ取扱いと共有時の注意点
カスタム指示には、すべての会話へ持ち回りたくない情報を入れない。これが基本方針です。具体的には、次のようなものが該当します。
- 顧客や取引先の個人情報
- 未公開の売上や原価、単価
- パスワードやAPIキー
- 契約上の秘密情報
回答の精度を上げるために必要だと感じても、識別情報を落とした一般的な条件へ置き換えられないか、一度考えてみてください。
「A社向け」ではなく「製造業の小規模事業者向け」と書けば足りる場面は、意外と多いものです。
データの扱いも押さえておきましょう。OpenAIは、カスタム指示の利用情報をモデル性能の改善に使う場合があるとしたうえで、コンテンツを改善へ使わないためのオプトアウト方法を案内しています。
アカウントや組織の契約形態によって扱いが変わり得るので、業務で使う前にData Controlsと組織のルールを確認してください。
共有リンクを渡すときにも、見落としやすい点があります。
カスタム指示そのものは、共有リンクの閲覧者へ渡りません。ただし、その指示の影響を受けて生成された文章には、登録した背景が表れることがあります。
設定が見えないことと、回答から情報が推測されないことは別です。共有前に生成結果を読み直しておきましょう。
外部サービス連携も確認しておきたいところ。第三者プラグインを使う場合、指示に含まれる関連情報が開発者へ渡る可能性があります。
信頼できるものだけを使い、渡したくない情報は書かないのが前提です。外部連携の名称や仕組みは変わることがあるため、利用中のアプリごとに権限とデータ共有の範囲を見ておくと安心でしょう。
なお、カスタム指示を更新・削除しても、以前の指示が反映された過去の会話まで自動で変わるわけではありません。旧内容を過去会話から取り除くには、その会話自体を削除する必要があります。
設定変更とチャット履歴の管理は、別の作業と考えておきましょう。
向いている使い方・向かない使い方
ここまでの内容を、使い分けの目安として並べ直しておきます。カスタム指示が力を発揮するのは、次のような場面です。
- どの仕事でも共通する回答の長さや構成を指定する
- 初心者向け、経営者向けなど基本の読者像を置く
- 不明点を推測しない、出典を示すなど確認方針を決める
- 日付、単位、用語などの表記をそろえる
- 提案時に判断材料を添えるよう求める
逆に、次のような情報は全体設定へ置かない方がうまくいきます。
- 特定案件だけの資料やルール
- 頻繁に変わる料金やキャンペーン、在庫の情報
- 長大な社内マニュアル全体
案件限定の指示はProjects、1回だけの条件は会話の冒頭、機密性が高い情報はそもそも入力しない。この分け方が現実的でしょう。
カスタム指示を使わない代替手段
カスタム指示を使わなくても、毎回の手間を減らす方法はあります。設定が見えないまま回答へ影響する状態を避けたいなら、むしろこちらの方が合うでしょう。
- Projects
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継続案件ごとに、参考ファイル、チャット、プロジェクト指示をひとまとめにできます。全体の回答方針は共通でも、案件Aと案件Bで読者や用語が違うなら、こちらが向いているでしょう。
- 依頼テンプレートの保存
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「目的」「入力」「制約」「出力形式」「確認項目」の欄を作ったテンプレートをメモアプリへ置き、必要なときだけ貼り付けます。依頼ごとに条件を意識して確認したい人に合う方法です。
- 一時チャット
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履歴に残さず会話したいときの選択肢です。既定では非パーソナライズの状態で始まり、メモリもカスタム指示も使いません。
開始時にパーソナライズを選べば既存のメモリとカスタム指示を参照できますが、新しいメモリは作られません。
一時チャットで気をつけたいのは、パーソナライズの有無を開始時にしか選べない点です。
会話の途中では切り替えられません。普段の設定を効かせたいかどうかを、始める前に決めておきましょう。

まとめ
カスタム指示は、毎回繰り返している回答形式や確認方針を、全チャットで使う共通ルールとして登録する機能です。
まずは「結論を先に」「不明な数値を推測しない」のように、結果を確認しやすい3〜5項目から始めると管理しやすくなります。
全体のルールはカスタム指示、案件別の情報はProjects、会話から引き継ぐ背景はメモリ、1回限りの条件はその会話で伝える。この4つで振り分けてみてください。
設定後は新しいチャットで試し、効かなければ曖昧な言葉を具体化し、効きすぎるなら適用条件を狭めます。
最後に確認したいのは、便利さよりも情報の置き場所です。全チャットへ持ち回る必要がない情報や、外部へ渡せない情報はカスタム指示に入れません。
長い万能テンプレートを一度に作るより、小さく設定して実際の回答を見ながら直す方が、日々の仕事に合わせやすくなります。

