近年、AI技術の進歩により、テキストから画像を生成したり、既存の画像を編集したりできる画像生成AIが注目を集めています。
これらのツールは、クリエイターやビジネス用途だけでなく、個人での活用も広がっています。
本記事では、主要な画像生成AIの特徴や使い方、選び方のポイントを、初心者にもわかりやすく解説していきます。
※情報は2025年1月現在です。間違ってたらごめんね
画像生成AIとは
画像生成AIとは、人工知能技術を使用して、テキストの説明（プロンプト）から画像を生成したり、既存の画像を編集したりできるツールです。
近年の技術革新により、驚くほど高品質な画像生成が可能になっています。
主要な画像生成AIサービス一覧
現在、多くの画像生成AIサービスが提供されていますが、ここでは特に注目される8つのサービスについて詳しく見ていきましょう。
以下の表は、各サービスの主要な特徴と基本情報をまとめたものです。
| サービス名 | 開発元 | 特徴 | 料金体系 |
|---|---|---|---|
| DALL-E 2 | OpenAI | ・高品質で写実的な画像生成 ・実写背景の画像に強い ・4枚のバリエーション画像を同時生成 ・画像編集機能が充実 ・抽象的な内容も画像化可能 |
有料（クレジット制） |
| Stable Diffusion | Stability AI | ・リアルな画像からアニメ風まで幅広い表現が可能 ・オープンソースでカスタマイズ性が高い ・Web版とローカル版が利用可能 ・生成枚数やプロンプトの制限なし ・ControlNet機能で線画からの生成が可能 |
無料（一部機能は有料） |
| Midjourney | Midjourney, Inc. | ・写真のようなリアルな画像生成 ・幻想的でアーティスティックな表現 ・Discordサーバー上で利用可能 ・他ユーザーの作品を参考にできるギャラリー機能 ・画像からプロンプト生成機能 |
有料（サブスクリプション制） |
| Adobe Firefly | Adobe | ・著作権フリーの画像を学習データとして使用 ・Adobe製品との連携が可能 ・100以上の言語に対応 ・生成塗りつぶし、テキスト効果などの機能 ・サンプル画像とプロンプトの閲覧が可能 |
一部無料、有料（サブスクリプション制） |
| Bing Image Creator | Microsoft | ・Microsoftアカウントで無料利用可能 ・日本語のプロンプトに対応 ・プロンプトの自動生成機能 ・BingのAIチャットを介して画像生成が可能 ・他ユーザーの作品閲覧機能 |
無料 |
| Craiyon | Craiyon, Inc. | ・シンプルな操作性 ・9枚の画像を同時に生成 ・生成画像のアップスケールが可能 ・手軽に利用可能 |
無料（一部機能は有料） |
| Artbreeder | Morphogen, Inc. | ・画像を組み合わせて新しい画像を生成 ・人物の顔や体、風景などを細かく調整可能 ・コラボレーション機能搭載 ・画像とテキストを組み合わせた合成が可能 |
一部無料、有料（サブスクリプション制） |
| DeepArt | DeepArt GmbH | ・写真や画像を有名画家のスタイルに変換 ・多彩なアートスタイル ・モバイルアプリで利用可能 ・高解像度出力オプションあり |
一部無料、有料（サブスクリプション制） |
この表から分かるように、各サービスにはそれぞれ特徴的な強みがあります。詳しく見ていきましょう。
主要サービスの詳細解説
1. Midjourney - アーティスティックな表現力の王者
Midjourneyの最大の特徴は、その卓越した画像生成能力です。特に写真のようなリアルな画像生成と、芸術性の高い表現が高く評価されています。
Discordを通じて利用する独特のスタイルは、一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、逆にコミュニティの力を活かした学習環境が整っているのが特徴です。
"/describe"コマンドを使用することで、アップロードした画像からプロンプトを生成できる機能や、"/blend"コマンドによる画像合成機能など、独自の機能も充実しています。
特に芸術的な表現を求めるクリエイターやアーティストから高い支持を得ており、商業利用も可能です。
2. DALL-E 2 - OpenAIが誇る高性能モデル
DALL-E 2は、ChatGPTで有名なOpenAIが開発した画像生成AIです。特筆すべきは、そのバランスの取れた性能です。写実的な画像生成はもちろん、抽象的な概念も見事に視覚化してくれます。
CLIPと呼ばれる技術を用いることで、テキストと画像の関係性を深く理解し、高品質な画像を生成できます。
画像編集機能も充実しており、生成した画像の一部を書き換えたり、背景を拡張したりすることが可能です。特に実写背景の画像生成に強みを持ち、商用利用にも適しています。
3. Stable Diffusion - カスタマイズ性に優れたオープンソース
Stable Diffusionは、Stability AIが開発したオープンソースの画像生成AIです。最大の特徴は、そのカスタマイズ性の高さです。
オープンソースであるため、誰でも自由にコードを改変し、独自の画像生成AIを開発できます。
"ControlNet"と呼ばれる拡張機能を使用することで、線画からの画像生成や、より詳細な制御が可能に。ローカル環境での実行も可能なため、プライバシーを重視する場合や、大量の画像生成を行いたい場合に特に威力を発揮します。
ただし、高性能なPCが必要という点は初心者にとってハードルとなる可能性があります。
4. Adobe Firefly - 著作権に配慮した安全設計
Adobe Fireflyは、クリエイター向けツールで有名なAdobeが開発した画像生成AIです。最大の特徴は、著作権フリーの画像のみを学習データとして使用している点です。
これにより、商用利用時の著作権トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。
PhotoshopやIllustratorなど、既存のAdobe製品との連携も魅力です。また、100以上の言語に対応しており、日本語でのプロンプト入力も可能です。
生成塗りつぶしやテキスト効果など、デザイナー向けの機能も充実しています。
5. Bing Image Creator - 手軽に使える無料サービス
Microsoftが提供するBing Image Creatorは、DALL-E 3の技術を採用した高性能な画像生成AIです。
Microsoftアカウントがあれば無料で利用でき、日本語でのプロンプト入力にも対応しているため、初心者でも気軽に試すことができます。
プロンプトの自動生成機能や、参考画像の提示機能なども備えており、AIとの対話を通じて徐々に理想の画像に近づけていくことができます。
ただし、商用利用が認められていない点や、生成速度に制限がある点には注意が必要です。
6. Craiyon - シンプルで使いやすい入門モデル
以前はDALL-E miniという名前で知られていたCraiyonは、シンプルな操作性が特徴の画像生成AIです。9枚の画像を同時に生成でき、生成画像のアップスケール機能も備えています。
無料で手軽に利用できる点がメリットですが、生成される画像のクオリティは最新の画像生成AIと比べると低い傾向にあります。また、日本語には対応していないため、英語でのプロンプト入力が必要です。
7. Artbreeder - 画像合成に特化したユニークなAI
Artbreederは、画像を組み合わせて新しい画像を生成できるユニークなAIです。
人物の顔や体、風景などを細かく調整でき、独自性の高い画像を生成できます。"Mixer"機能を使用すれば、画像とテキストを組み合わせることで、より自由度の高い画像生成が可能です。
操作が直感的で使いやすく、商用利用も可能ですが、日本語には対応していない点に注意が必要です。
8. DeepArt - アート風変換に特化したAI
DeepArtは、写真や画像を有名な画家のスタイルに変換できるAIです。ゴッホやピカソなど、様々な画家のスタイルを選択できます。モバイルアプリも提供されており、スマートフォンで手軽に利用可能です。
高解像度出力オプションも用意されていますが、無料版では処理に時間がかかる点や、生成・編集機能が限定的である点がデメリットとして挙げられます。
機能比較
各サービスの具体的な機能を比較してみましょう。以下の表は、主要な機能の対応状況をまとめたものです。
| 機能 | DALL-E 2 | Stable Diffusion | Midjourney | Adobe Firefly | Bing Image Creator |
|---|---|---|---|---|---|
| テキストから画像生成 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 画像から画像生成 | ○ | ○ | ○ | - | - |
| 画像編集 | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
| 日本語対応 | - | ○ | - | ○ | ○ |
| 商用利用 | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
| AI名 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| DALL-E 2 | ・高品質な画像生成 ・高速生成 ・商用利用可能 |
・英語での指示が必要 ・料金が高い |
| Stable Diffusion | ・カスタマイズ性が高い ・無料で利用可能 ・生成枚数無制限 |
・ローカル版の導入に手間 ・日本語対応は限定的 |
| Midjourney | ・高品質な画像生成 ・アーティスティックな表現 ・商用利用可能 |
・Discordアカウントが必要 ・料金が高い |
| Adobe Firefly | ・著作権リスクが低い ・Adobe製品と連携 ・商用利用可能 |
・生成画像の品質は他に劣る |
| Bing Image Creator | ・無料で利用可能 ・日本語対応 |
・商用利用不可 ・生成速度に制限あり |
この機能比較表から、各サービスの特徴がより具体的に見えてきます。
特に注目すべき点として、
- DALL-E 2とMidjourneyは、ほぼ全ての機能に対応しており、総合的な性能の高さが際立っています
- Stable Diffusionは、カスタマイズ性の高さが特徴的です
- Adobe Fireflyは、Adobe製品との連携という独自の強みを持っています
性能評価
各サービスの性能を客観的な指標で比較してみましょう。
| 性能指標 | DALL-E 2 | Midjourney | Stable Diffusion | Adobe Firefly |
|---|---|---|---|---|
| 画質 | 90/100 | 95/100 | 85/100 | 80/100 |
| 生成速度 | 95/100 | 85/100 | 80/100 | 90/100 |
| 使いやすさ | 85/100 | 75/100 | 65/100 | 90/100 |
| 機能の豊富さ | 90/100 | 85/100 | 95/100 | 85/100 |
| コストパフォーマンス | 75/100 | 80/100 | 95/100 | 85/100 |
この評価表は、実際のユーザー評価と専門家の分析に基づいています。特に...
- 画質についてはMidjourneyが最高評価
- 使いやすさではAdobe Fireflyが優位
- コストパフォーマンスではStable Diffusionが圧倒的
料金体系の比較と選び方
画像生成AIの料金体系は、利用目的や頻度によって最適なものが異なります。以下の表で、主な料金タイプとその特徴を比較してみましょう。
| 料金タイプ | サービス例 | 特徴 | 月額目安 |
|---|---|---|---|
| クレジット制 | DALL-E 2 | ・使用量に応じた課金 ・必要な分だけ購入可能 ・繰越可能なクレジット |
・スターター：$15（115クレジット） ・プロ：$50（460クレジット） |
| サブスクリプション制 | Midjourney Adobe Firefly |
・定額で無制限利用可能 ・安定した月額費用 ・追加料金なし |
・基本プラン：$10-30 ・プロプラン：$30-60 |
| 無料サービス | Bing Image Creator Stable Diffusion（基本機能） |
・無料で利用可能 ・基本機能は制限なし ・一部機能に制限あり |
無料 |
| ハイブリッド型 | Artbreeder DeepArt |
・基本機能は無料 ・高度な機能は有料 ・柔軟な利用プラン |
・無料プラン：\0 ・有料プラン：$10-20 |
この料金比較から、以下のようなポイントが見えてきます。
- 頻繁に利用する場合は、サブスクリプション型が経済的
- 利用頻度が低い場合は、クレジット制が柔軟
- 試験的な利用には、無料サービスが最適
活用シーンと選び方のポイント
ビジネスでの活用
ビジネスシーンでは、特に品質と著作権の観点が重要になります。用途別に最適なサービスを見ていきましょう。
マーケティング素材制作
推奨サービス：Adobe Firefly、DALL-E 2
選定理由：
- 著作権の扱いが明確
- 商用利用が可能
- 高品質な画像生成が可能
活用例：
- SNS投稿用のビジュアル作成
- 広告バナーの制作
- 商品イメージの展開
プレゼンテーション資料
推奨サービス：Midjourney、DALL-E 2
選定理由：
- クオリティの高い画像生成
- 抽象的な概念も表現可能
活用例：
- コンセプト説明用の画像
- データの可視化
- イメージ図の作成
クリエイティブ制作での活用
イラスト・アート制作
推奨サービス：Midjourney、Stable Diffusion
選定理由：
- 芸術性の高い表現が可能
- スタイルの自由度が高い
活用例：
- アート作品の制作
- キャラクターデザイン
- コンセプトアート
出版・メディア制作
推奨サービス：Adobe Firefly、DALL-E 2
選定理由：
- 著作権の管理が容易
- プロフェッショナルな品質
活用例：
- 書籍カバーデザイン
- 雑誌レイアウト
- Web記事のアイキャッチ
個人利用・趣味での活用
SNS投稿用
推奨サービス：Bing Image Creator、Craiyon
選定理由：
- 無料で利用可能
- 操作が簡単
活用例：
- プロフィール画像
- 投稿用イラスト
- メディアコンテンツ
効果的な活用のためのTips
プロンプト作成のコツ
1. 具体的な描写を心がける
- 良い例：「夕暮れ時の、オレンジ色の空を背景に佇む古い灯台」
- 悪い例：「きれいな風景」
2. テクニカルな指定を活用
- 画風の指定：photorealistic、oil painting、watercolor など
- 光の指定：soft lighting、dramatic lighting など
- カメラ設定：close-up、wide angle など
3. 参照画像の効果的な使用
- 構図の参考として
- 色調やトーンの指定に
- スタイルの指定として
画質向上のためのテクニック
1. 解像度とアスペクト比の最適化
- 用途に応じた適切なサイズ設定
- プラットフォームごとの推奨サイズ対応
2. 後処理の活用
- ノイズ除去
- シャープネス調整
- カラーバランスの調整
注意点と制限事項
著作権とライセンス
1. 商用利用に関する注意
- 各サービスの利用規約の確認
- 権利関係の明確な把握
- 使用範囲の確認
2. モデルの肖像権
- 実在の人物を模倣しない
- 権利侵害の防止
- 適切なクレジット表記
技術的な制限
1. 生成品質の限界
- 細部の正確性
- テキストの生成
- 特定のモチーフの表現
2. 処理能力と時間
- サーバー負荷による待ち時間
- 同時生成数の制限
- 品質と速度のトレードオフ
将来の展望
技術発展の方向性
1. 生成品質の向上
- より高精細な画像生成
- 正確な人物表現
- 複雑な構図や動きの表現
2. ユーザビリティの改善
- より直感的なインターフェース
- 自然言語による詳細な指示
- リアルタイムプレビューと調整
3. 新機能の展開
- 動画生成への展開
- 3Dモデル生成との連携
- VR/AR向けコンテンツ生成
まとめ：画像生成AI選びのポイント
目的別の選び方
ビジネス利用の場合
▼予算に余裕がある場合
- DALL-E 2やMidjourneyの有料プラン
- 高品質な画像と充実したサポート
- 安定した生成結果
▼コスト重視の場合
- Stable DiffusionやBing Image Creator
- 基本機能で十分な場合
- 少量の利用に最適
クリエイティブ制作の場合
▼プロフェッショナル用途
- Adobe Firefly（Adobe製品との連携）
- Midjourney（アート表現）
- DALL-E 2（精密な制御）
▼趣味・実験的利用
- Stable Diffusion（カスタマイズ可能）
- Craiyon（気軽な利用）
- Artbreeder（画像合成実験）
始め方のステップ
1. 目的の明確化
- 使用用途の特定
- 必要な機能の洗い出し
- 予算の設定
2. 試用期間の活用
- 無料版での機能確認
- 操作感の確認
- 生成結果の品質チェック
3. 段階的な導入
- 基本的な使い方の習得
- プロンプトの練習
- 応用技術の習得
おわりに
画像生成AIは、私たちのクリエイティブワークやビジネスの在り方を大きく変えつつあります。本記事で紹介した各サービスには、それぞれ特徴や強みがあり、使用目的や予算に応じて最適なものを選択することが重要です。
初心者の方は、まずBing Image CreatorやCraiyonなどの無料サービスから始めて、徐々に有料サービスを検討するのがおすすめです。
プロフェッショナルな用途では、DALL-E 2やMidjourney、Adobe Fireflyなどの特徴を見極めて、最適なものを選択しましょう。
技術の進歩は日進月歩であり、画像生成AIの性能や機能は今後さらに向上していくことが予想されます。定期的に各サービスの更新情報をチェックし、自身のニーズに合わせて柔軟に使い分けていくことがポイントです。
重要なのは、これらのAIツールはあくまでもクリエイティビティを支援するものだということです。人間の創造性とAIの能力を組み合わせることで、これまでにない表現や効率的な制作が可能になるでしょう。
この記事が、あなたの画像生成AI活用における一助となれば幸いです。
