「FACTFULNESS」は、人々が世界を誤解している「10の思い込み」を取り上げ、事実に基づいた見方をするための習慣を身につけることを目的とした書籍です。
著者であるハンス・ロスリング氏は、世界的な保健指標である児童死亡率の低下や世界の人口増加の抑制など、多くの誤解がある世界の実態を、データを用いて明確に示し、読者に訴えかけます。
本書は、世界を見る上での誤解を、10の思い込みとして提示し、それらを解決するための具体的なアプローチを提供しています。最初の思い込みとして取り上げられる「貧困の逆説」では、世界の多くの人々が貧困に苦しんでいると考えられがちですが、実際には極度の貧困から脱却した人々の数は急速に増加しており、現在の世界の貧困率はかつてないほど低くなっています。
また、最後の思い込みとして取り上げられる「私たちは何も学んでいない」では、過去の歴史を学ぶことが重要であることを説き、人々が現状においても成し遂げたことに目を向けるように促します。
本書を読んで得られた教訓としては、まず、データに基づいた事実を知ることが重要であるということです。
世界は複雑であり、多様な側面があるため、偏った情報に基づく考え方や、思い込みに基づく誤解を持つことは避ける必要があります。また、データを扱う上でのスキルを身につけることも重要であり、データの信頼性や適切な分析方法を学ぶことが必要です。
さらに、本書は、過去の誤解を振り返ることで、現在の状況を客観的に見ることができるようになるということを示しています。
例えば、昔は病気や飢餓が横行していた時代もありましたが、現在は医療技術の進歩や食糧生産の向上により、そのような問題は大幅に改善されています。しかし、現代においても多くの問題が残っていることを認識し、解決するためには過去の成功や失敗から学ぶことが必要です。
また、本書は、メディアや人々の思い込みによって歪められた情報に惑わされることなく、自分自身で情報を収集し、客観的に分析することが重要であるということを示しています。
特に、政治的な問題や社会問題については、様々な意見があり、情報が錯綜しているため、偏った情報や思い込みによる誤解を持ってしまいがちです。しかし、客観的なデータをもとに自分自身で分析することで、正しい見方ができるようになります。
さらに、本書は、世界を見る上での「感性の改善」についても論じています。感性の改善とは、人々が持つ先入観や固定観念を取り除き、新しい事実や見方に対する理解力を高めることです。
例えば、多くの人々がアフリカを貧困や病気のイメージで捉えていることに対して、実際にはアフリカには多くの成長著しい国や文化的な多様性があることを知り、自分の固定観念を変えることが重要です。
総じて、本書は、世界を正しく見るために必要なデータの扱い方や、思い込みや先入観を排除する方法を具体的に示し、客観的な見方をするためのツールを提供しています。
本書を読んで得た知識や教訓は、世界を見る上での基礎となり、私たちが持つ誤解や固定観念を取り除くことで、より客観的な見方ができるようになります。そして、それによって、私たちは今後の世界の課題に対して、より適切な解決策を見つけることができるでしょう。