最近、大阪のマンションや家賃が高くなっているらしい。
そんな話を耳にして、実際のところどうなのか気になっている方も多いと思います。私も気になって、新築・中古・賃料・地価の公的データを一通り調べてみました。
結論から言うと、上昇はほぼ事実でした。
ただ、調べていくうちにわかったのは、上がっているのが「大阪府全体」ではなく、大阪市の中心部に偏っているという点。ここを混同すると、判断を間違えやすいんですよね。
この記事では、価格がどれくらい上がったのか、なぜ上がっているのか、そしてこれから買う人・借りる人が何に気をつければいいのかを、数字をもとに整理します。
上がっているのは「大阪府全体」ではなく、大阪市中心部が中心。新築・中古・賃料・地価がそろって上がっているのは、利便性の高い都心エリアに偏っています。
数字で見ると、上昇は本物だった
新築・賃料・中古、どれを見ても上がっていました。順番に、10年前あたりと比べた数字を挙げていきます。
新築は10年で㎡単価が最大9割上昇
不動産経済研究所の調査によると、近畿圏の新築マンションは2015年に平均3,788万円、㎡単価58.2万円でした。
これが2025年度には平均5,418万円、㎡単価96.5万円まで上がっています。価格で約43%、㎡単価で約66%の上昇です。
大阪市部にしぼると、もっとはっきりします。
2015年の平均3,467万円・㎡単価62.3万円に対して、2025年度は平均4,974万円・㎡単価116.8万円。価格は約43%の上昇ですが、㎡単価は約88%も上がっています。
| 項目 | 2015年ごろ | 2025年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 近畿圏・平均価格 | 3,788万円 | 5,418万円 | 約43%増 |
| 近畿圏・㎡単価 | 58.2万円 | 96.5万円 | 約66%増 |
| 大阪市部・平均価格 | 3,467万円 | 4,974万円 | 約43%増 |
| 大阪市部・㎡単価 | 62.3万円 | 116.8万円 | 約88%増 |
戸あたりの価格より㎡単価の伸びが大きい。これは、価格を抑えるために1戸あたりの面積を小さくしている動きを示しています。同じ予算でも、買える広さは10年前より確実に狭くなっているわけです。
2025年度の近畿圏は発売戸数が17,002戸で、4年ぶりに増えました。契約率は72.4%、㎡単価は1973年の調査開始以降の最高値を5年連続で更新しています。値上がりは一時的なものではなく、構造的に続いている状態。
賃料も上昇、とくに家族向けが強い
持ち家だけでなく、賃料も上がっています。
アットホームと三井住友トラスト基礎研究所のマンション賃料インデックスでは、大阪市は2009年の第1四半期を100として、2025年第2四半期に総合136.64。長期で約37%の上昇です。
目を引くのが、家族向けの強さ。同じ指標でファミリータイプは149.44まで上がり、2009年比で約49%の上昇です。シングルが119.76、コンパクトが140.06ですから、広い部屋ほど上昇幅が大きいことがわかります。
背景には、購入価格が上がりすぎて、家を買わずに広めの賃貸に残る世帯が増えている事情があると考えられます。この指数は成約事例を品質調整して算出されたもの。
強気の募集家賃ではなく、実際に契約された家賃ベースでも上がっている点は見逃せません。
中古マンションは24期連続で上昇
中古も例外ではありません。近畿レインズの2026年1〜3月期のレポートでは、近畿圏の中古マンション成約㎡単価は47.31万円。2020年4〜6月期から、24期連続で上昇が続いています。
おもしろいのは、成約件数があまり増えていないこと。件数はほぼ横ばいなのに、単価だけが上がり続けています。
「買いたい人が殺到している」というより、新築が高すぎて中古へ需要が流れ、良い立地の物件が高値でしか出てこない。そんな構図が見えてきます。
なぜ大阪で価格が上がっているのか
では、なぜここまで上がっているのか。理由は大きく「コスト側」と「需要側」の2つに分けて考えると、すっきり整理できます。
建築費の高騰と都心の土地不足
1つ目はコストです。新築マンションは土地代だけでなく、建築費や人件費、資材価格の上昇をまともに受けます。2025年度の近畿圏では㎡単価が前年比+7.9%と、価格そのものより単価の伸びが目立ちました。
もう1つが、都心部の土地不足。北区・中央区・西区・福島区・浪速区といった利便性の高いエリアでは、マンション用地を安く仕入れること自体が難しくなっています。
土地が高くなれば、当然そこに建つマンションの価格も上がるわけです。
人口流入・再開発・インバウンド
需要側も強い状態が続いています。大阪市の人口は2000年ごろを境に増加へ転じ、2024年には約279万人。とくに都心6区への流入が大きく、都心に住みたいというニーズが価格と賃料を押し上げています。
そこに再開発が重なります。うめきた、梅田、淀屋橋、本町、中之島、難波あたりの開発で、オフィス・商業・住まいの需要が同時に強まっている状態。さらにインバウンドです。
大阪府の資料では、2024年の来阪外国人旅行者数は推計1,464万人とされ、観光需要がホテルや商業地の地価を押し上げ、住宅地にも間接的に効いています。
上がっているのは「大阪全体」ではない
ここまで読んで、「じゃあ大阪のどこを買っても上がるのか」と思った方もいるかもしれません。ただ、ここが今回いちばん伝えたいところです。上昇は大阪府全体ではなく、大阪市の中心部に強く偏っています。
2026年の公示地価を見ると、大阪府全体の住宅地は前年比+2.8%、商業地は+8.5%でした。これだけでも上昇基調ですが、中心部はけた違いです。
商業地の上昇率1位は大阪市中央区の道頓堀で、+25.0%という突出した数字。住宅地でも中心部の区では二桁の上昇が出ています。
一方で、大阪府の南部や郊外、人口が減っているエリアは温度差があります。
「大阪の不動産は上がっている」とひとくくりにするより、大阪市中心部の地価が強烈に上がり、それが周辺のマンション価格や賃料に波及していると見たほうが、実態に近いです。
これから買う人・借りる人が知っておきたいこと
最後に、これから動こうとしている方に向けて、押さえておきたい点があります。価格が上がっているのは事実ですが、これからも同じペースで上がり続けるとは限りません。
1つは金利です。金利が上がれば、住宅ローンで借りられる金額は下がります。新築価格が高くなりすぎると、買える人が限られ、面積を小さくして総額を抑える動きが進みます。
実際、2025年度の大阪市部は平均価格が前年比-6.4%だった一方、㎡単価は+5.4%。価格を下げたのではなく、部屋を狭くして総額を調整した形です。
もう1つは、売り手の強気です。近畿圏の中古では、在庫の㎡単価が54.19万円と、成約の47.31万円を上回っています。
売りに出ている価格が、実際に売れている価格より高い。期待が先行しすぎている可能性もあるので、提示価格をそのまま信じない姿勢が安全です。
大阪のマンションは「どこでも上がる」わけではありません。エリア(中心部か郊外か)と用途(住宅か商業か)を分けて見ること。金利と、売り手の強気な提示価格にも注意が必要です。
ここで挙げたのは、あくまで私が公的データを調べた範囲の整理です。最終的な売買や住み替えの判断は、ご自身の予算やライフプランに合わせて検討してみてください。
まとめ
大阪のマンション価格と賃料の上昇は、データで見るかぎり本物でした。
ただ、その中心は大阪府全体ではなく大阪市中心部で、建築費の高騰・土地不足・人口流入・再開発・インバウンドが重なった構造的な高値局面です。
エリアと用途を分けて眺めると、今の大阪の不動産はぐっと見えやすくなりますね。

