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MACDで株価トレンドを読み切る!初心者でもできる具体的手法(キホン)

MACDで株価トレンドを読み切る!初心者でもできる具体的手法(キホン)
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株式投資において、チャート分析は売買判断の重要な材料のひとつです。

ローソク足や移動平均線などさまざまな指標がありますが、なかでも「MACD(マックディー)」は、トレンド系とオシレーター系の両方の性質を兼ね備えており、多くの投資家が注目している代表的なテクニカル指標のひとつです。

MACDは初心者でも比較的理解しやすい指標ですが、うまく使いこなすには、その計算方法や仕組み、売買シグナルの読み方をしっかりと押さえておく必要があります。

ここでは、投資初心者にもわかりやすいようにMACDの概要から具体的な計算式、活用方法、注意点まで詳しく解説します。

また、実際の相場でどのようにMACDが役立つかを、現実に起きた出来事などを織り交ぜながら紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、株式投資のテクニカル分析にお役立てください。

1. MACDの基本的な仕組み

MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、日本語では「移動平均収束拡散法」と訳されることがあります。

移動平均線の一種である指数平滑移動平均線(EMA: Exponential Moving Average)をベースにして、短期と長期のふたつのEMAの差分を可視化したものがMACDの骨格です。

株価は日々上下に変動しており、その変動幅や方向性を正しくつかむことは容易ではありません。

移動平均線は価格の動きを平準化してトレンドを視覚的にわかりやすくする指標ですが、MACDはこの移動平均線に「収束と拡散」を加味して、さらにシグナルの取りやすい形にしたものです。

短期移動平均線と長期移動平均線が離れたり(拡散)、近づいたり(収束)する様子を捉えることで、トレンドの強弱や転換点を見極めようとするのがMACDの狙いといえます。

MACDはチャート上に「MACDライン」「シグナルライン」「ヒストグラム」の3要素を描画し、その位置関係や動きから売買タイミングを探るのが一般的です。

特に、MACDラインとシグナルラインのゴールデンクロスやデッドクロスは、多くの投資家が注目するポイントになっています。

2. 計算式と3つの要素

(1)MACDライン

MACDラインは、以下のように算出される指標です。

  • 短期EMA(一般的には12日)
  • 長期EMA(一般的には26日)
  • MACDライン=短期EMA − 長期EMA

ここで用いられる指数平滑移動平均線(EMA)は、直近の価格により大きな重みを置く計算手法です。そのため、単純移動平均線(SMA)に比べて、最新の値動きをより敏感に反映しやすい特徴があります。

短期EMAが長期EMAよりも上なら上昇傾向、下なら下降傾向を表すと考えられますが、MACDラインはこの差分なので、短期的な株価トレンドと長期的な株価トレンドがどう変化しているかがいっそう明確にわかります。

(2)シグナルライン

シグナルラインは、上記で算出されたMACDラインをさらに滑らかにするための移動平均線で、多くの場合は9日EMAを用いて計算します。

  • シグナルライン = MACDラインの9日EMA

MACDラインは短期と長期のEMAの差分として日々変動しますが、シグナルラインはそれをさらに平滑化して捉えるため、MACDラインよりワンテンポ遅れて動く傾向があります。

(3)ヒストグラム

ヒストグラム(Histogram)は、MACDラインとシグナルラインの数値差を棒グラフのように表示したものです。

  • ヒストグラム = MACDライン − シグナルライン

ヒストグラムがプラス圏で大きくなっていればMACDラインがシグナルラインを上回っている、つまり上昇の勢いが強まっていると読み取ります。

逆にマイナス圏でさらに下方向に伸びている場合は、下落の勢いが強まっている可能性があると判断します。

ヒストグラムの大きさや増減スピードを観察することで、売買の加熱感やエネルギーの強弱を感知できる点が特徴です。

3. MACDの代表的な売買シグナル

(1)ゴールデンクロス(買いシグナル)

MACDで最も注目されるシグナルの一つが「ゴールデンクロス」です。これは、MACDラインがシグナルラインを下から上に突き抜ける現象を指し、一般的には買いシグナルと考えられています。

なぜなら、MACDライン(短期EMAと長期EMAの差分)が上昇に転じ、さらにシグナルライン(MACDの平均)を上回ったことで、相場が上向きに勢いづき始めていると判断できるからです。

実際のチャートでは、MACDラインとシグナルラインの位置関係がローソク足の動きよりもわかりやすいケースがあります。

移動平均線のゴールデンクロス(短期線が長期線を上抜け)とは似ている概念ですが、MACDでは短期EMAと長期EMAの差分をさらに平滑化して見ているため、よりタイミングが絞り込めるとの声も多いです。

(2)デッドクロス(売りシグナル)

ゴールデンクロスの反対が「デッドクロス」です。MACDラインがシグナルラインを上から下に突き抜けることで、売りシグナルとされます。

MACDラインの下落がシグナルラインを下回るときは、短期の強さが失速し、中長期のトレンドに押される形となっている可能性が高いです。

デッドクロスが発生しても、必ず大きく下落するわけではありませんが、相場の勢いが後退しているシグナルとしては有効とされます。

特に、ヒストグラムがプラス圏からゼロラインを割り込み、マイナス圏へ突入するタイミングとも重なれば、いっそう警戒する投資家が多くなる傾向があります。

(3)ゼロラインの上抜け・下抜け

MACDラインの数値がプラス圏かマイナス圏かも、トレンド判断の目安となります。

具体的にはMACDラインが0を上回っていれば、短期EMAが長期EMAを上回っている(上昇トレンド)状況です。一方、0を下回っていれば、短期EMAが長期EMAを下回る(下降トレンド)状況にあります。

そのため、MACDラインがゼロラインを下から上へ突き抜けたときは、中長期的に上昇トレンド入りの可能性を示すサインと解釈でき、逆にゼロラインを上から下へ突き抜けたときは下落トレンドに入る可能性を示すことになります。

4. ダイバージェンス(乖離)の活用

MACDを分析するときに、しばしば「ダイバージェンス」が話題になります。

ダイバージェンス(Divergence)とは、「価格と指標の動きが乖離している状態」を指し、相場の転換点を示唆する可能性がある重要な現象です。

たとえば、株価が高値を更新しているのに、MACDラインは前回の高値を超えられずに下がっている場合、これは「強気の勢いが衰えているサイン」と読み取れます。

つまり、価格は見た目上まだ上昇しているものの、MACDラインが伸び悩んでいることで、トレンドの上昇力が薄くなっていることを暗示しているかもしれません。

一方、株価が安値を更新しているのに、MACDラインは前回の安値を割り込まずに切り上がっている場合、下落の勢いが弱まっている可能性があるため、近い将来に反転することを警戒する投資家もいます。

ダイバージェンスは株価の天井圏や底値圏で顕著に現れることが多いため、その意味を理解しておくと相場の重要な転換点を見逃しにくくなるでしょう。

5. 実際の相場でのMACD活用事例

ここでは、過去に株式市場で大きな変動があった局面において、MACDがどのような動きを示していたか、いくつか例を挙げて紹介します。

(1)アベノミクス相場(2013年頃)

2013年はアベノミクスの期待感によって日経平均株価が急騰しました。

チャートを振り返ると、多くの銘柄でMACDラインがシグナルラインを下から上に突き抜けるゴールデンクロスを形成し、同時にヒストグラムがプラス圏を拡大するタイミングがありました。

これに合わせて投資家が買いポジションを増やし、結果的に大きな上昇トレンドに乗れたという実例があります。

(2)リーマンショック後の回復局面(2009年〜2010年)

2008年のリーマンショックで世界的な株価暴落が起こったあと、2009年から2010年にかけては徐々に相場が回復していきました。

このとき、MACDラインが強くマイナス圏まで沈んでいた状態から、ゼロライン付近へ向かって上昇し、ついにはプラス圏に転じる場面が散見されます。

これが「下降トレンドの終息」を暗示し、底値圏だった株価が次第に反発するきっかけを教えてくれたとも見ることができます。

(3)コロナショック(2020年)

2020年初頭には、新型コロナウイルスのパンデミックによる経済活動の停滞が警戒され、一気に株価が下落しました。

多くの銘柄のMACDラインは大幅なマイナス圏に突入し、デッドクロスが頻発したことで、下落リスクが顕在化しました。その後、世界的な金融緩和策などによって株価が急速に反発し始めたタイミングでは、MACDラインが深いマイナスからゼロラインを突破する動きが見られました。

このように、MACDの大きな動きは市場の転換を測る上で、ひとつの目安として機能しやすいことがわかります。

6. 他のテクニカル指標との組み合わせ

MACDは単独でも利用できますが、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析と組み合わせることで、さらに精度の高い投資判断が可能になります。

(1)移動平均線との併用

MACDのもとになるのはEMAですが、一般的な単純移動平均線(SMA)をチャートに併せて表示すると、相場の大局的なトレンドをつかみやすくなります。

たとえば、75日や200日といった長期SMAを見ながら「全体的に上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか」を把握しつつ、MACDで短中期のタイミングを探るという使い方が考えられます。

(2)RSIやストキャスティクスとの併用

MACDはトレンドの方向性や強弱を捉えるのが得意である一方、RSI(相対力指数)やストキャスティクスなどのオシレーター系指標は「買われすぎ・売られすぎ」を数値で示すのが得意です。

両者を組み合わせることで、「MACDラインがゴールデンクロスしたタイミングで、RSIも30以下から上向きになっている」など、複数のシグナルが重なったところを狙ってエントリーする手法が考えられます。

これにより、騙しの発生をある程度抑えられる可能性が高まります。

(3)ボリンジャーバンドとの組み合わせ

ボリンジャーバンドは、価格のボラティリティ(変動幅)を把握するのに適した指標です。

株価がボリンジャーバンドの±2σを抜けるタイミングや、バンドがスクイーズ(狭まる)状態から拡大(エクスパンション)に転じるタイミングをMACDのクロスと合わせてみることで、より強い売買シグナルを捉えられるかもしれません。

(4)ファンダメンタルズ分析との併用

短期的な売買判断だけでなく、中長期で投資を考える場合には企業の業績や経済状況など、ファンダメンタルズ分析も重要です。

好調な業績発表を受けて株価が上昇傾向にある銘柄であれば、MACDのゴールデンクロスが出た際に乗ることでリスクをある程度抑えられるでしょう。

一方、業績が悪化している銘柄が一時的にMACD上の買いシグナルを出しても、大きな継続的上昇には繋がりにくい場合があるため注意が必要です。

7. MACDを使う際の注意点

(1)騙しが存在する

どんなテクニカル指標にも言えることですが、MACDにも騙し(シグナルの誤作動)があります。

ゴールデンクロスしてすぐにデッドクロスが出るなど、相場がもみ合い状態にあるとシグナルが頻発し、逆に損失を拡大させてしまうケースがあるので要注意です。

横ばい相場ではMACDのクロスを過信せず、他の指標やファンダメンタルズ、出来高など総合的に判断する必要があります。

(2)急激な材料やニュースには追随しにくい

MACDは移動平均線をベースにした指標なので、過去の価格データを慣らして算出しています。

そのため、突発的な企業のニュースや世界的な金融政策の発表などで相場が急変した場合、MACDの変化が一歩遅れて発生することがあります。

特に大幅ギャップアップやギャップダウンが起こる相場では、MACDのシグナルを待っているうちにエントリーのタイミングを逃してしまう可能性もあります。

(3)時間足や期間設定の違い

MACDにおいては、一般的に12日・26日・9日というパラメータを用いることが多いですが、トレードスタイルによって設定を変更する投資家もいます。

たとえばデイトレードや短期売買であれば、もっと短いパラメータ(6日・13日・5日など)にすることで、より敏感にシグナルを得られる半面、騙しも増えやすくなります。

一方、長期投資なら従来の設定のまま、週足や月足チャートにMACDを適用して大局的なトレンドを見る方法もあります。

自分の投資スタイルに合わせて、最適なパラメータや時間軸を探ってみましょう。

(4)損切りラインの設定

MACDのシグナルに従ってエントリーしても、必ずしも想定どおりに相場が動くとは限りません。むしろ外れることも珍しくありません。

重要なのは、たとえシグナルが外れたとしても、深刻な損失を被らないよう適切な損切りラインを設定し、機械的にロスカットすることです。

MACDのシグナルが再び変化したところで素早く撤退する、あるいは大きくトレンドが進む場合にはしっかりと保有するなど、リスク管理のルールを決めておくと、継続的に相場と向き合いやすくなります。

8. まとめ

MACDは、株式投資だけでなくFXなどでも広く利用される万能型のテクニカル指標の一つです。

短期EMAと長期EMAの差分をベースに、さらに移動平均化したシグナルラインやヒストグラムを組み合わせることで、トレンドの方向や転換点を視覚的につかみやすくしています。

代表的なゴールデンクロスやデッドクロスのシグナル、ダイバージェンス(乖離)などを活用することで、相場の勢いや衰えをいち早く察知し、売買判断につなげることが可能です。

ただし、MACDにも騙しが存在し、すべてのシグナルが正しいわけではありません。横ばい相場ではクロスが頻発するほか、突発的なニュースによる急変にも対応が遅れがちになるなど、万能ではないことを理解しておきましょう。

また、成功確率を高めるためには、RSIやボリンジャーバンド、移動平均線、さらにはファンダメンタルズ分析など、さまざまな観点を組み合わせて相場を総合的に判断することが大切です。

最後に、テクニカル指標のシグナルでエントリーやエグジットを決める際には、必ず事前に損切りのラインや利益確定の目標を設定しておくことをおすすめします。

相場には常に不確実性が伴い、思いもよらない材料で急激に動くケースも少なくありません。MACDなどのテクニカル分析で見えたシグナルを「参考情報」として捉えつつ、常にリスク管理を意識することが長期的に安定した成果を得るためのポイントです。

もしまだMACDを使ったことがないという方は、まずは実際にチャート上でMACDを表示させてみて、過去の動きを振り返りながらシグナルが出たタイミングと株価の推移を検証してみましょう。

自分がよく取引する銘柄や興味のある銘柄で過去のデータをチェックすると、MACDがどの程度有効に機能するかを肌感覚で理解できます。

テクニカル指標を正しく理解し、適切に使いこなすことができれば、株式投資のリスクを抑えつつ、チャンスを確実にモノにする手助けになるはずです。MACDを一つのツールとして上手に活用し、より客観的な投資判断につなげていきましょう。

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