S&P500に毎月1万円投資した20年後の資産額は?具体的なシミュレーションで解説

S&P500に毎月1万円投資した20年後の資産額は?具体的なシミュレーションで解説
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毎月1万円を投資に回したら、20年後にはいくらになっているのか。将来の資産形成を考え始めると、多くの人がまずこの疑問にたどり着きます。

投資先の候補としてよく名前が挙がるのが「S&P500」です。世界経済の中心である米国の主要企業500社にまとめて投資できる指数で、長期の積立先として関心を集めてきました。

先に結論を書いておきます。想定年率7%で試算すると、投資元本240万円が20年後には約520万9千円になる計算です。

元本を上回る約280万9千円の収益を生み出しているのが、利益がさらに利益を生む「複利効果」なんですね。

目次

S&P500の基本と、投資先として選ばれる理由

S&P500は金融商品の名前ではなく、米国の株式市場の動きを示す指標です。

耳にする機会は増えていても、中身まで押さえている人は意外と少ないところ。長期の資産形成で選ばれてきた理由は、この指数の作られ方そのものにあります。

米国の主要500社にまとめて投資できる指数

S&P500(エスアンドピー500)は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する米国の代表的な株価指数のひとつです。

ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場する企業の中から、市場規模、流動性、業種のバランスなどを考慮して選ばれた主要500社の株式で構成されています。

この指数がカバーしているのは、米国株式市場の時価総額の約80%とされています。米国市場全体、ひいては米国経済そのものの動向を映す重要な指標と見なされているのは、そのためですね。

個人投資家がS&P500そのものを直接売買することはできません。代わりに「S&P500連動型」の投資信託やETF(上場投資信託)を購入すれば、実質的に500社へ分散投資したのと同じ状態をつくれます。

1万円といった少額からでも、米国の優良企業群のオーナーの一人になれる仕組みが用意されているわけです。

長期の積立先として選ばれてきた3つの背景

S&P500が長期の積立投資先として選好される背景には、はっきりした理由があります。

長期的なパフォーマンス実績

2000年のITバブル崩壊や2008年のリーマンショックのように、短期では大きく下げる局面を何度も経験してきました。それでも長期で見れば、右肩上がりの成長が続いています。

構成企業がイノベーションを通じて利益を拡大し、米国経済全体が成長してきた結果ですね。

構成銘柄の自動的な新陳代謝

構成銘柄は定期的に見直され、業績が低迷した企業は除外されます。代わりに成長著しい企業が新たに組み入れられる仕組み。指数そのものが時代遅れにならず、常に米国の「今」を代表する顔ぶれで保たれます。

米国経済のグローバルな影響力

構成企業の多くは世界中で事業を展開するグローバル企業で、その収益は米国国内に留まりません。S&P500への投資は、実質的に世界経済の成長の恩恵を受けることにもつながります。

試算に使った前提条件

シミュレーションの数字は、前提の置き方ひとつで大きく変わります。投資額、投資期間、そして結果を最も左右する想定リターン(利回り)。この3つをどう設定したのかを、先に開示しておきます。

投資額と投資期間

条件そのものはシンプルです。毎月1万円を、20年間(240ヶ月)にわたって積み立て続けます。

20年間で投じる総額、すなわち投資元本は240万円。毎月1万円 × 12ヶ月 × 20年間で計算した金額ですね。この240万円が20年後にいくらの資産価値になるのかを試算していきます。

想定リターンを年率7%に置いた理由

S&P500の過去のパフォーマンスは、参照するデータソースによって語られ方が異なります。一般的なレンジは、年率5%から10%(米ドルベース)といったところ。

たとえば配当込み・米ドルベースで1957年から2023年までを平均すると、年率10%強というデータもあります。これはあくまで過去の特定期間の平均値であって、未来を保証する数字ではありません。

そこで今回は、過去の実績と将来の不確実性の両方を勘案し、長期投資の議論でよく用いられる年率7%を基準に置きました。

市場環境が良好だった場合として年率10%、やや低調だった場合として年率5%のケースも、比較対象として並べます。

試算を読むときの2つの注意点

結果を解釈する前に、断っておきたいことがあります。

ひとつは、これが過去のデータをもとにした仮定の試算であり、将来の運用成果を保証するものではないという点。S&P500の価値は日々変動しており、投資元本を割り込む「元本割れ」のリスクも当然ながら存在します。

もうひとつは、計算を簡略化するためにコストを考慮していない点です。

投資信託の購入時手数料(現在は無料のものが多くあります)や信託報酬(運用管理費用)、運用によって得られた利益に課される約20%の税金は差し引いていません。

ここから示す数値は、長期積立投資の可能性をつかむための目安として読んでみてください。

S&P500に毎月1万円を20年投資したシミュレーション結果

設定した前提条件に基づき、毎月1万円を20年間、S&P500に連動する金融商品で積み立てた場合の資産額を試算します。

基準となる年率7%を軸に、保守的な5%と楽観的な10%も並べると、長期投資のポテンシャルが具体的な金額として見えてくるはずです。

20年後の資産総額(想定年率7%の場合)

基準ケースの条件は、次の3点です。

  • 毎月の積立額は1万円
  • 積立期間は20年間(240ヶ月)
  • 想定年率は7%(複利運用)

20年後の資産総額は約520万9千円。投資元本240万円に対して、運用によって得られた収益は約280万9千円という計算になります。

20年という時間をかけると、運用収益が投資した元本そのものを上回る可能性が出てきます。自分で積み立てた金額よりも、増えた金額のほうが大きくなるわけですね。

年率5%と10%だと結果はどう変わるか

保守的に年率5%で見積もった場合、20年後の資産総額は約411万円になります。内訳は投資元本240万円と運用収益約171万円。年率7%のケースと比べると、最終資産額で約110万円の差が生じます。

それでも元本に対して170万円以上の収益が期待できる計算ですね。

楽観的に年率10%で見積もった場合は、20年後の資産総額が約765万7千円。投資元本240万円に対し、運用収益は約525万7千円と元本の2倍を超えます。

想定年率がわずか数パーセント違うだけで、20年後には数百万円単位の差になって表れるわけです。

投資元本と運用収益の内訳

シミュレーション結果を時系列で追うと、資産の中身が入れ替わっていく様子が見えてきます。

投資を始めた当初、資産のほとんどを占めるのは自分で積み立てた元本です。時間が経過するにつれて、運用収益の割合がじわじわと増えていきます。

年率7%のケースでは、途中で投資元本(240万円)と運用収益(約280万円)が逆転し、資産全体の半分以上を収益が占めるようになります。投資で得た収益がさらなる収益を生む「複利効果」が働いているからですね。

投資期間が長くなるほど、この運用収益の成長カーブは急になっていきます。

資産が増える鍵になる「複利効果」の仕組み

投資元本240万円が500万円、条件によっては700万円以上にまで育つ可能性がある理由。その大部分を説明するのが「複利(ふくり)」です。

アルベルト・アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだとも言われるこの仕組みは、長期的な資産形成において最も重要な概念のひとつになります。

複利と単利の違い

資産運用における利息の計算方法は、大きく「単利(たんり)」と「複利」の2種類に分かれます。

単利は、最初に投資した元本に対してのみ利息が計算される方法です。100万円を年利5%(単利)で預けた場合、毎年受け取れる利息は5万円で一定。

3年後には、元本100万円と利息15万円を合わせて115万円になります。

複利では、それまでに得られた利息も次期の元本に組み入れます。元本と利息の合計額に対して、あらためて利息が計算される仕組みですね。同じ100万円を年利5%(複利)で運用すると、次のように増えていきます。

STEP
105万円

元本100万円に利息5万円が加わります。

STEP
110万2,500円

元本が105万円に増え、利息は5万2,500円(105万円 × 5%)。

STEP
115万7,625円

元本110万2,500円に利息5万5,125円が加わります。

単利の場合(115万円)と比べると、3年でおよそ7,625円の差。受け取る利息そのものが年々増えていくところが、複利の特徴です。

複利効果が長期投資で威力を発揮する理由

利息が利息を生む、いわば「雪だるま式」に資産が増えていくプロセス。この効果は、運用期間が長ければ長いほど顕著になります。

先ほどの例では、3年でわずか7,625円の差にすぎませんでした。

これが20年、30年と続くと、差は劇的に拡大していきます。今回の「毎月1万円を20年間」という設定は、まさに複利の時間を最大限に使おうとするものですね。

毎月積み立てた1万円が利益を生み、その利益が翌月以降、新たな積立金とともにさらに大きな利益を生み出す元手になる。

この連鎖が240回続いた結果が、投資元本240万円を大きく上回る約280万円(年率7%)の運用収益です。

分配金の受け取り方で複利の効き方が変わる

多くの投資信託には、運用によって得られた配当(S&P500構成企業が出す配当金に相当)を投資家に支払う「分配金支払い型」と、支払わずに自動的にそのファンドの購入へ充てる「分配金再投資型」があります。

複利効果を最大化したいなら、選ぶべきは「分配金再投資型」です。受け取った分配金を再び投資に回すことで、積立金以上に投資元本が増えていきます。

その増えた元本が次の配当や値上がり益を生み、複利のサイクルが効率よく回るという流れですね。

始める前に押さえておきたいリスクと制度

シミュレーションが示すのは可能性であって、約束された未来ではありません。実際の投資には常に不確実性がついて回ります。

魅力的なリターンの数字だけでなく、抱えることになるリスクと、投資効率を高めるための制度もセットで確認しておきたいところです。

価格変動リスク

S&P500は株式指数であり、その価値は日々変動します。連動する投資信託やETFの基準価額も、同じように上下すると考えてください。

景気の後退、金融政策の変更、地政学的な出来事などをきっかけに、短期間で大きく下落する可能性は常にあります。

歴史的にも、ITバブルの崩壊(2000年代初頭)、リーマンショック(2008年)、コロナショック(2020年)と、S&P500が30%から50%程度下落する「暴落」局面は繰り返し起きてきました。

積立投資には、価格が安いときにも買い続けることで下落リスクを時間的に分散させる効果(ドルコスト平均法)があります。そ

れでも、一時的に資産価値が投資元本を下回る「元本割れ」の状態になるリスクまでは避けられません。

20年という長期の投資期間中に、こうした下落局面へ遭遇する可能性は非常に高いと想定しておくのが現実的です。

為替変動リスク(円建て投資の場合)

S&P500は米国の指数であり、連動する投資信託やETFの多くは米ドル建てで運用されています。日本の投資家が円でこれらの商品を購入する以上、為替変動リスクからは逃れられません。

指数価値(ドル建て)が変わらなくても、為替レートが円高・ドル安(たとえば1ドル150円から130円へ)に進めば、円に換算した資産価値は目減りします。

逆に円安・ドル高が進めば、指数価値が下落していても円建ての資産価値が増えるケースもあるんですね。

S&P500投資のリターンは、米国の株価と日米の為替という二重の変動要因に左右される。この点は頭に入れておきたいところですね。

NISA(新NISA)制度の活用

試算した運用収益(年率7%で約280万円)は、税引き前の金額です。通常の証券口座(特定口座や一般口座)で投資した場合、この利益に対して約20%(20.315%)の税金が課されます。280万円の20%はおよそ56万円。その分だけ手元に残る金額は減ります。

この税金を非課税にできる制度が「NISA(ニーサ)」です。2024年から始まった新しいNISA制度では、とくに「つみたて投資枠」が長期の積立投資と相性の良い設計になっています。

枠内でS&P500連動の投資信託などを購入しておけば、20年後に売却して利益が出たとしても、その利益に税金はかかりません。

シミュレーション結果の利益をそのまま享受できるかどうかで、最終的な手取りは約56万円変わってきます。長期的な資産形成の効率を考えるなら、NISA制度の活用は外せない選択肢です。

まとめ

S&P500に毎月1万円を20年間積み立てた場合、想定年率7%の試算では、投資元本240万円に対して最終的な資産総額が約520万円(運用収益約280万円)になる可能性が示されました。

増えた分を生み出しているのは、長期にわたって「利息が利息を生む」複利効果です。

米国経済の長期的な成長を背景に、歴史的に良好なパフォーマンスを示してきた株価指数がS&P500。少額からの積立投資を通じて、その恩恵を受けることが期待できます。

もちろん、この数字はあくまで仮定に基づく試算であり、未来の成果を保証するものではありません。実際の投資には、S&P500自体の価格変動リスクと、円建てで投資する際の為替変動リスクがついて回ります。

2つのリスクを理解したうえで、運用益が非課税となるNISA制度を賢く活用しながら、自身のライフプランやリスク許容度に合った投資判断をしていく。その積み重ねが20年後の結果を左右するでしょう。

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